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「営業や査定システムまでアドバイスを」多村仁志が古巣に“出戻り移籍”を選んだワケ「参入2年目のDeNAで常勝ホークスの経験を試したかった」
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石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/18 11:42

ホークスの主力として定着し、残留も可能だった多村(左端)だが、古巣への帰還を選んだ理由とは……?
「福岡行きは自分にとって大きかったし、財産になりましたね。ひとつの球団に最後までいるのもいいとは思いますが、他を知るというか、外の空気を吸うことは、自分をレベルアップさせるチャンスなんだと思いました。今では福岡は自分にとって“第二の故郷”みたいなものですし、後援会の方々や地域の人たちと今でもつながっていますよ。毎年足を運ぶと、そのたびに『おかえり~』と声を掛けてくれますし、本当に野球だけじゃなく、自分の人生にとってもトレードをしてくれた両球団に感謝です」
トレードは、いいことだよ
そう言うと、多村は確信を込めてつづけた。
「今やトレードは、あまりネガティブなイメージはなく、やっぱりチャンスをもらえる機会だと思うんですよ。両球団の戦力補強はもちろん、少し燻っていた選手が、トレードによって花を咲かせることも珍しいことではないですし、気持ちを切り替えることができると思います。トレードは決して悪いことではなく、いいことだよって、僕は自信を持ってそう言えますね」
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現役生活22年、魅惑の右の大砲は、若いときから怪我など度重なるアクシデントで戦列を離れることもあり、それがなければ早々に世界を舞台に戦っていたのではないかと想像してしまうほどの選手だった。それでも2度のトレードを経たことで、これほど長く現役生活をつづけられたのだと、多村の言葉を聞くと、人生とはつくづく“縁”が導くものだと思わずにはいられない。
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