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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
ピンチ、焦りのちプロ初勝利に「長かった…」DeNA “背番号18”を背負う男・小園健太の一番長い日「これでもう『初勝利!』と言わなくていいんだ」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2025/07/14 11:04
7月3日にプロ初勝利を挙げた小園健太。緊迫の今季初登板を勝利翌日に振り返った
「いや本当に何点あっても安心できないというか、自分としても5回でマウンドを降りてしまうということは、最低限の仕事しかできていないということなので、リリーフの方々に申し訳ないという気持ちがありましたね」
そして最後はローワン・ウィックが試合を締め括り、小園は4年目にして晴れてプロ1勝目を挙げた。
ここまで長かった
「長かったですね……」
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大きくため息をつくように小園は言った。
その様子からは、ドラフト1位として鳴り物入りで入団し、威厳ある背番号18を背負った若者の人知れない苦労が漂っていた。
試合後、この日ハマスタに観戦に訪れていた両親に勝利球を手渡すと「本当によかったね」と言ってもらえた。ドラフト同期で同級生でありトミー・ジョン手術から復活を目指す盟友の深沢鳳介からは『ナイスピー!』とシンプルなメッセージが届いた。
そして先代の背番号18、三浦大輔監督からは次のように声を掛けられたという。
「おめでとう。まずはお世話になった人たちに感謝の連絡をするように。それと無駄なフォアボールがなければ、あと1~2イニング行けたと思うから、そこはしっかり反省をしなさい」
期待をしているがゆえに、最後はしっかり釘を刺すことを忘れない。
ついに初勝利で肩の荷が下りた…?
まだまだ課題は多いが、常に衆目に晒されつづけてきたプロスペクトは、1勝することの重みを痛いほど味わった。正直なところ、初勝利を挙げたことで、これまで掛かっていたプレッシャーというか、少しは肩の荷が下りたのではないか。そう尋ねると、小園は安堵と苦笑が入り混じった表情で答えた。
「そうですね。毎年毎年『初勝利!』と言ってきたので、もうそれを言わなくていいと思うと気が楽というか、でかいですよね」
ようやくスタートラインに立つことができた。本当の勝負はこれからだ。
「はい。1勝することの大変さをすごく感じることができましたし、自分としても、もっともっといいピッチングができたんじゃないかと思っています。自分のなかに『もっともっと』いう気持ちや感情があったことを再認識できたのはよかったと思います」
結果が出ずに自分を信じ切れないこともあっただろう。しかし、ようやく一軍で通用する実力を示すことはできた。小園には未来のDeNAを背負うべく、もっともっと自信を持って、もっともっと羽ばたいて欲しいと思わずにはいられない。
〈小園が初登板への覚悟を語った初回を読む〉

