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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
ピンチ、焦りのちプロ初勝利に「長かった…」DeNA “背番号18”を背負う男・小園健太の一番長い日「これでもう『初勝利!』と言わなくていいんだ」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2025/07/14 11:04
7月3日にプロ初勝利を挙げた小園健太。緊迫の今季初登板を勝利翌日に振り返った
その裏の攻撃、松尾や井上絢登のタイムリーで3点を入れ、同点に追いついた。
「野手の皆さんが追いついてくださったので、これは本当にでかかったですね。自分としては2回から0対0のつもりで切り替えて投げることができました」
先発投手は、ある意味“運”という要素も引き寄せなければいけない。同点に追いついてくれた以上、小園はこの試合をものにしなければいけなかった。
ピンチを脱して雄叫びを上げる
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つづくピンチは3回表だった。岡林に長打を許し2アウト、ランナー二塁の場面を作られ迎えたのは、前打席で本塁打を打たれたボスラーだった。
このときショートの守備についていた京田陽太がマウンドに近寄り、小園に声を掛けた。
「京田さんは『(ボールが)内に入っていかないように。攻めるなら攻める、散らすなら散らすで、しっかりメリハリをもって投げていこう!』と、おっしゃってくれて、自分でも割り切って低めなら低めでビタビタに行こうって」
ボスラーの前の細川の打席から小園はスライダーを投げ始め、ピッチング構成を変えていた。フルカウントとなった8球目、外角からバックフットに入る曲がりの大きい低めのスライダーが決まり、空振り三振。小園には珍しく、マウンド上で雄叫びを上げた。会心の一球だった。
「ボスラーには縦変化で終わらそうと思ったんですが、フルカウントになったとき汐恩から外からのスライダーのサインが出て『なるほどな』と。自分でも『いいかも』と思い投げたら結果が三振でした」
若きバッテリーのアイディアが発露した、ピンチ脱却だった。
「初勝利」への焦り
その後、DeNAは4回裏に井上のソロ本塁打で勝ち越し。小園は5回を無失点で収めれば勝ち投手の権利を得るが、先頭のピッチャーのカイル・マラーから三振を奪うも8球を投じたり、田中をフォアボールで出すなど、初勝利に向け焦燥感が見て取れた。小園は正直に言う。
「体力的には問題なかったですが、何て言うんですかね……気持ちが先走ってしまった部分はあったかもしません」
小園は5回でマウンドを降りると、ベンチから仲間たちを応援した。その後、4得点するも9回には2点返されるなど、落ち着かない時間がつづいたが、どのような思いを抱き戦況を眺めていたのだろうか。

