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「暑くなれば日本が有利だ」ラグビー日本代表“12年ぶりウェールズ撃破”のウラ側で…酷暑の「14時キックオフ」はなぜ起きた? その“意外な真相”

posted2025/07/12 11:03

 
「暑くなれば日本が有利だ」ラグビー日本代表“12年ぶりウェールズ撃破”のウラ側で…酷暑の「14時キックオフ」はなぜ起きた? その“意外な真相”<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

12年ぶりに強豪・ウエールズを破ったラグビー日本代表。一方でキックオフが酷暑の14時となったことには賛否もあった

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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Kiichi Matsumoto

 12年ぶりに強豪・ウェールズを破ったラグビー日本代表のテストマッチ。一方で、その試合内容とともにファンの話題に上がったのが試合当日の酷暑だ。試合結果にも大きく影響したと思われる「14時キックオフ」はなぜ起こったのか。試合内容とともにその真相をレポートする。《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》

 殺人的な暑さだった。

 7月5日に北九州市のミクニワールドスタジアムで行われたラグビー日本代表対ウェールズ代表のテストマッチ。試合は終始リードされていた日本が残り10分で逆転し、24-19でウェールズを撃破。相手のウェールズは2023年ワールドカップ以降テストマッチの勝利なしという不調に陥っているとはいえ、世界に勇名を轟かせた伝統国からの勝利。試合後のスタジアムには、歴史的な偉業を達成した高揚感が沸き上がっていた。

 その一方で聞かれたのが「ちょっと、気の毒だよね」「いくらなんでもやり過ぎだよ」というささやきだ。

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「気の毒」とは、この日の暑さのことだ。試合開始は14時。近年の気候変動の故か、例年にない九州地方の早い梅雨明けのせいか、この日の北九州は気温35度を超えようかという酷暑。真夏の日差しは真上から照り付け、ピッチの上はフライパンのような灼熱状態だった。

酷暑の14時キックオフ…日本に味方?

 結果だけ見れば、過酷なコンディションは日本に味方したように見える。

 ウェールズは真夏の日本での試合に備え「気温36度、湿度87%」に保った室内で、長袖長ズボンを着こんでワットバイク、ローイングなどのトレーニングを重ね、来日後も日中の暑い時間に屋外で練習した。試合前日にメディアの取材に応じたロックのベン・カーターは「かなりキツいトレーニングをしてきた。日本の暑さは正直、想像していた以上だけど、それはどちらにとっても同じコンディションだからね」と自信を見せていた。

 実際の試合でも、開始直後に日本陣内でPKを得るとゴールを狙わずラインアウトに持ち込んでトライを奪うなど、暑さに挑むような積極的な姿勢を見せた。だが試合が進むにつれて、「レッドドラゴン」と恐れられた赤いジャージーの集団はあからさまに消耗。前半終了のホーンが鳴ると、敵陣でボールを保持していながらあっさりタッチにボールを蹴り出して前半を終わらせた。

【次ページ】 灼熱の戦いの中では負傷者も…

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