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「史上最も馬鹿げた出来事のひとつ」“打点王”カブス・鈴木誠也の“オールスター落選”米メディアはどう報じた?「不自然」「歴史的にも異常」
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一野洋Hiroshi Ichino
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/11 17:25

日本時間の7月10日現在、ナ・リーグの打点王に輝いているシカゴ・カブスの鈴木誠也。一方でそれだけの実績を残しながら、オールスターは落選の憂き目に
特に得点圏での集中力は際立つ。淡々と相手投手の癖を見抜き、狙い球を絞って確実に仕留める。凡退しても外野への大飛球で走者を進める“仕事”ができるのが鈴木の強みだ。
さらに今季は四球での出塁や犠牲フライによる打点も多く、「チームへの貢献度は数字以上」と言われている。打球速度もメジャートップクラスで、飛距離だけでなく角度の付け方も向上し、本塁打ペースは50本も視野に入る。
このように内容・結果ともに伴ったシーズンを送りながら、オールスターに選出されなかった事実には、米メディアも疑問を投げかけている。
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『Axios』はシカゴの記者の「驚きだった」というコメントを紹介しつつ、「他選手が辞退すれば追加招集の可能性はあるが、最初に名前が呼ばれなかったことが不自然だった」と伝えている。
米スポーツ専門メディア『スポーツ・イラストレーテッド』は「鈴木誠也のオールスター落選は史上最も馬鹿げた出来事のひとつ」と題する記事で、「MLB打点王がオールスターから漏れるのは完全な恥辱であり、選出基準を見直すべきだ」と強調。
実際、オールスターブレーク前に25本塁打、20二塁打、75打点以上を記録した選手は過去90年で34人おり、そのうち32人がオールスターに選ばれている。選外となったのは鈴木と1935年のハンク・グリーンバーグだけであり、今回の選外が歴史的にも異常であることを伝えた。
解説者は「ホームランダービーに出ても…」
また、現地7月6日の試合中、解説のデビッド・コーン氏が「なぜ鈴木がオールスターに選ばれなかったのか」「ホームランダービーに出てもいいのでは」と語った直後に鈴木が今季25号となる405フィート(約123メートル)の特大本塁打を放つ場面があった。
この一撃はESPNの『Sunday Night Baseball』を通じて全米に生中継され、コーン氏の発言と直後の本塁打というタイミングが話題となり、SNSでも多くのファンが「まるで答えを示したかのようだ」と反応を寄せていた。
では、なぜ鈴木は球宴に選ばれなかったのだろうか? その背景にはDH枠の構造的な壁がある。
<次回へつづく>

