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陸上日本選手権で「異例の8人車座」ウラ話…“史上最激戦”の女子100mハードル なぜライバルたちが一団に?「何が何でも一緒に走りたかった」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byNanae Suzuki

posted2025/07/09 11:03

陸上日本選手権で「異例の8人車座」ウラ話…“史上最激戦”の女子100mハードル なぜライバルたちが一団に?「何が何でも一緒に走りたかった」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

陸上日本選手権の大トリを担った100mハードル決勝のレース後、8人で車座になって結果の確定を待つ選手たち。普段はなかなか見ない光景だが、その経緯は?

 寺田が2019年に日本人で初めて13秒の壁を破ったのを皮切りに、12秒台が続出したことが何よりもその証だ。

「12秒9ぐらいのタイムで皆さんが驚かないぐらいのレベルに上がったのは本当に寺田さんのおかげだと思う。自分ももう30歳になりますが、寺田さんのような存在になれるかと言われたら絶対になれないと思う。でも、築いてきてくれたものを繋げていけたらいいかなって思います」

 今季好調で2位に入った中島もまた、こんなことを話していた。

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 今では日本人の12秒台ハードラーは7人。そのうち6人が今回の日本選手権の決勝の舞台に立った(願わくば、準決勝を棄権した青木益未(七十七銀行)も決勝で見てみたかったが)。

もうひとりのベテランも「最後の日本選手権」

 また、寺田の他にもう1人、日本歴代6位の記録をもつ清山ちさと(いちご)も、今回が最後の日本選手権だと表明していた。

「日本代表になりたいという思いを20年近く持ち続けてきたことと、一緒に走ってくれるレベルの高いみんなのおかげでここまで来られたと思っているので、本当に感謝しています」

 清山もライバルたちへの思いをそう口にしていた。

 日本の女子ハードル界を牽引してきた2人の最後のシーズンとあって、ライバルたちも今回の日本選手権には特別な思いで臨んでいた。

「寺田さんと清山さんが、今年の日本選手権が最後と聞いていたので、何が何でも決勝の舞台で一緒に走りたかった。ゴールして2人の顔を見たら、寂しくなっちゃって涙が止まらなくなりました。今回は優勝したいという気持ちよりも、2人と一緒に走ることが自分の中で大きかったので」

 こう話すのは日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)だ。

【次ページ】 日本選手権の大トリ…「そんな種目になったのね」

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