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「頭パニックで…ホテルの部屋で泣いた」糸井嘉男が初めて明かす“12年前の電撃トレード”真相…日ハム→オリックス「記事読んで、ほんまなんやと」
text by

田中大貴Daiki Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2025/07/09 11:04

日本ハムからオリックスにトレードとなった2013年1月の出来事を振り返る糸井嘉男(43歳)
――どう伝えられたのですか。
部屋に入ってからすぐに「糸井トレード。オリックスです」という感じでしたね。頭は真っ白。(頬を)つねりましたよ、ほんまあ〜?って。「もう変更できないですか? 拒否できないですかね?」とかいろいろ聞いたと思うんですけど、もうそれはプロ野球界のルールだから、と。決まったことだとは理解していましたが、半信半疑というか、信じられない、信じたくないというか。一度はホテルを出ようとしたんですが、放心状態だったので、フロントに引き返して客室をとったんです。ホテルの部屋でYahoo!ニュースを読み、ほんまなんやと実感しました。
――周囲はどんな反応でしたか?
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もう、着信・着信・着信、ですよ。稲葉(篤紀)さん、金子(誠)さんからも電話が来ました。「お前、何したんやー」みたいなね。みんな何か問題を起こしたんじゃないかと思ったみたいで。「いや、僕は何もしないですよ、トレードです」って。もう先に沖縄(キャンプ)に行ってる選手もいましたからね......ほんまに頭がパニックですよ。
「親に捨てられたような気持ち」
――球団から他に何か言われたことで覚えてることはありますか?
「選手のことを考えてのトレードだから」とは言われました。そんなこと言われても「嘘つけー!」としか思わないですよ、当時は(笑)。2012年にリーグ優勝して、またみんなと絆が深まっていた矢先のトレードだったので、“怒り”よりも“悲しみ”がほとんどでした。
――すぐに前向きな気持ちにはなれなかった?
その瞬間は、ね。他球団に行くとは想像もしていなかったので。なんだろうな、親に捨てられたような……ほんまに悲しかったですね。
――レギュラーでプレーしていると、まさか自分がトレードの渦中に入ると思わないですよね。
まあ、ポスティングのことがあったし、あと契約更改も保留にしていたので。でも、あのときは言われるまで(日本ハムを出ることを)1ミリも考えていなかったです。
――「頑張ってな!」と握手をして別れた八木さんにはすぐ電話したんですか?
いやいや、そんな精神状態じゃなかったですね。自分もやん!って動揺してるので、八木のことは頭になかったかもしれないです(笑)。いろんな人からひっきりなしに電話もかかってくるし。もう、一人で泣きましたね。
――泣いた? あの糸井嘉男が泣いた?
うん、ホテルの部屋で泣きましたよ。赤ちゃんかってぐらい泣きました。
――宮津高校で甲子園を逃しても泣かなかった糸井さんが……。
泣かない、泣かない。僕はそんな泣かないですから。プロ生活でもほとんどないですよ。でもその時だけは泣きましたね。