Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER
[大横綱の孫として]王鵬/夢道鵬「宿命から目を逸らさず」
posted2025/07/06 09:00
夢道鵬 / 王鵬
text by

佐藤祥子Shoko Sato
photograph by
Kiichi Matsumoto
「王鵬が小学生時代、わんぱく相撲大会に出場した時、私が大鵬親方の車椅子を押して、部屋のみんなで両国国技館に応援に行ったんですよ」
昭和の大横綱の愛弟子だった大嶽親方がそう言って目を細める。ふと、この時、「幸之介(王鵬)が将来相撲取りになったら、どんな四股名がいいかな」と頭をよぎったという。
「『王鵬』っていいよな、と思い浮かび、以来ずっと温めていたんですよ」
大鵬の4人の孫はプロレスラーとなった長男を除く3人が角界入り。2021年1月の新十両昇進を機に、三男、幸之介は王鵬となった。本名の納谷から改名し、やっとその四股名を名付けることができたと大嶽親方は頬を緩ませる。
「大鵬道場」との看板が掲げられる大嶽部屋を継承して、はや15年。大嶽親方こと元十両大竜が入門したのは、師匠と仰ぐ大鵬が脳梗塞を患って倒れる1年前、1976年のこと。当時は一代年寄の名跡を名乗り“大鵬部屋”を構えていた。
「親方はなんでも“バカ野郎!”の一言から始まるんです。厳しくて理不尽で、稽古だけでなく生活面でも細かくてね。ちゃんこ鍋の野菜でも、親方の言う通りに入れるのに、翌日は『そうじゃない!』と(笑)。99%が厳しくても、1%の優しさがある。『ありがとうな』なんて言われると、それですべてがチャラになってしまうんです」
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。
残り: 3857文字
NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。
