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「お前、あの騒動があったのによく来たな」“今のプロレス批判”で炎上した前田日明に、ウナギ・サヤカがモノ申した真意「ぶん殴られようが…」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2025/05/27 17:00

「お前、あの騒動があったのによく来たな」“今のプロレス批判”で炎上した前田日明に、ウナギ・サヤカがモノ申した真意「ぶん殴られようが…」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

4月26日の自主興行(両国国技館)にて、前田日明と対峙したダーク・ウナギ

 週の半分かそれ以上は現場で取材している筆者からすると、前田の「(技をかける側が怪我をさせないように)コントロールすることが全然ない」という言葉はまったく賛同できない。相手に怪我をさせず、その上で迫力を出すための工夫はどの団体でも見られることだ。

 もちろん、今のプロレス界に問題がないとは言わない。インディー団体が乱立し、プロレスラーを名乗る者が増え、つまりは玉石混淆。しかしそれは、前田を含む旧世代が他のスポーツのような統一組織やライセンス制度を作ってこなかったせいではないか。

「お前、あの騒動があったのによく来たな」

 今のプロレスファン、今のプロレスラーの多くが前田を批判した。当然のことだ。前田は今のプロレスを雑に括りすぎた。前田が両国国技館に登場すると、ブーイングを飛ばす観客も。

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「今のプロレスラーの受身を見ろ!」

 前田に対峙したのはウナギのヒールバージョンであるダーク・ウナギ。「お前、あの騒動があったのによく来たな。必ずお前を査定してやるよ」と決め台詞も。それでも“説教”しようとした前田を鈴木みのるが「いつまでもしゃべってんじゃねえ!」と一喝する。そしてウナギが「じゃあまた今度、“元”プロレスラーさん」。ウナギは自分のリングに前田を呼んで、いいように転がしてみせたのだった。

 インタビュースペースでは、鈴木が今のプロレスラーの思いをストレートに吐き出した。付け足すことはほとんどないと言っていい。

「プロレスの長い歴史の中で、俺が関わってきたのは今年で37年。全体から見ればわずかだけど、昭和の終わりから関わってる。プロレスが今こういう形になって、俺たちは生き抜くために、生き続けるために姿かたちを変えてきた。そりゃうまいヤツもいるよ、ヘタなヤツもいるよ。人数増えりゃ事故もあるよ、あっちゃいけないけどな。

 だけどな、俺たちレスラーは胸張って言うよ。令和の、たった今、今日のこのリングが世界最高のプロレスの舞台だって。昔の人間は言うんだよ、ああでもないこうでもないって。でもプロレスを残すために、俺たちは形を変えてこうやっているんだから。一言、俺から言うとすれば“黙って見とけ”。これが今のプロレスの進化した姿だ。

 あと昔のヤツらに言ってやるよ。たかだが37、8年前しか知らねえけど、その時もうまいヤツ、凄いヤツはいた。でも大したことないヤツもいたぞ。今このリングにいたら前座にも出られないレベルの人間もいたぞ。俺は知ってるぞ、一番目の前で見てきてんだ。だからよ、令和に生きてる今のプロレスラー、胸張っていいぞ。俺たちが最高だ」

【次ページ】 前田の“炎上”を無視しなかったウナギ

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