「選手が信頼を感じる理由は…」Bリーグ・宇都宮のヘッドコーチが46歳でまさかの急逝…ベテランスタッフが振り返る「それでも仲間の心に残る」ワケ 

　一方で、ただのリストバンドでは情熱家のブラスウェルを悼むものとしてはそっけない。加藤とジーコ・コロネルHC代行で話し合い、リストバンドにある文言を刻印するように決まった。

「ケビンのインスタグラムのプロフィール欄に書いてある、彼が大切にしている言葉をプリントしよう」

　それが以下のメッセージだ。

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「Live everyday like it’s your last.」

　日本語に訳すと「毎日を『人生最後の日だ』と思って生きろ」。

　リストバンドを巻いたときに、メッセージの反対側に来る位置には「KB」とブラスウェルのイニシャルもプリントすることにした。

　すると、話はそこで終わらなかった。

「何それ？　オレも欲しいんだけど」

　選手たちから次々と声が挙がったのだ。

　エースの比江島慎は、このリストバンドを普段からつけていることを公言している。昨シーズンのリーグMVPであるDJニュービルや、寡黙でありながらブラスウェルHCから厚い信頼を寄せられていた鵤など、試合開始前のギリギリのタイミングまでリストバンドを手放さずにいる選手もいる。

なぜ故・ブラスウェルHCは周囲の心を掴めた？

　ブラスウェルは何故、そこまで他の者たちの心をつかむのか。

　加藤はこう考えている。

「（昨シーズン前の）アソシエイトコーチのときも、今シーズンからHCになっても、姿勢や考え方を変えず、ずっと一貫しているんですよ。たぶん、そういうところが選手が信頼を感じる理由なのだと思います。HCになってからも、彼に対しては言いたいことを言えるし、少しくだけた話もできる。周囲との距離感を保つのが抜群に上手な人だったという感じがします」

　加藤は外国籍の選手とプライベートをともにする機会も多い。

　かつてブレックスに所属していたライアン・ロシター（元日本代表）が日本への帰化の試験を受ける直前などは、ブレックスアリーナの近くにある「ペニーレイン」というビートルズの曲名に影響を受けたレストランで長期間にわたって、ロシターの日本語の勉強に付き合っていた時期もある。

　では、そんな「名スタッフ」とブラスウェルHCの関係は、どんなものだったのだろうか？

＜次回へつづく＞

#3に続く

「ケビンのパッションを引き継いで…」Bリーグでプレーオフ決勝進出…宇都宮ブレックス躍進の陰に“46歳で急逝”ヘッドコーチの存在アリ

#3

「ケビンのパッションを引き継いで…」Bリーグでプレーオフ決勝進出…宇都宮ブレックス躍進の陰に“46歳で急逝”ヘッドコーチの存在アリ

#2

「選手が信頼を感じる理由は…」Bリーグ・宇都宮のヘッドコーチが46歳でまさかの急逝…ベテランスタッフが振り返る「それでも仲間の心に残る」ワケ

#1

「俺たちは昨日、何をしていたんだ？」46歳でまさかの急逝…バスケBリーグ“プレーオフ決勝進出”宇都宮のヘッドコーチがチームに残したもの