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ボクシングPRESSBACK NUMBER
敗者カルデナスの誤算“じつは井上尚弥にバレていた”動揺「なぜ連打されながら笑ったのか?」カメラマンが見た“井上の表情”「イーッと歯を…珍しい1枚」
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/05/09 11:06

井上尚弥にTKOで敗れたカルデナス
山口 その前の7ラウンドのカルデナスのダウンも、我慢していたものが崩れた感じでしたからね。相当ダメージはあった。世界戦なので、もっと明確なところで止めるのがわかりやすかったかもしれませんが、近くで見ていた身としては適切なレフェリングだったと思います。
――試合を通して、T-モバイル・アリーナの雰囲気はどうでしたか?
山口 すごく盛り上がっていましたよ。「怪物Tシャツ」を着た外国人のファンもたくさん見かけましたし、イノウエコールも起きていたし。2ラウンドの尚弥選手のダウン以降は、カルデナスへの拍手や声援もすごかったです。日本人とかアメリカ人とかメキシコ人とか関係なく、どの国の人にとってもわかりやすくて、熱くて、面白い試合でしたからね。シンプルにボクシングの魅力が詰まっていた。
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――敗者のカルデナスも多くのものを手にした試合でしたね。
山口 得るものは相当あったんじゃないですか。これだけ注目された試合で、井上尚弥という絶対的な王者に無名の世界ランカーが善戦したわけですから。日本のボクシングファンは彼のことを確実に頭に入れましたよね。しばらくタイトルマッチは難しいかもしれないけれど、尚弥選手がフェザーに行ったらまたチャンスが来るかもしれません。
「衰えはまったく感じない」
――勝利した井上選手はどうでしょうか。ヒヤヒヤする内容ではありましたが……。
山口 終わってみれば、いつも通りきれいな顔しているな、と。体質なのか、食らっているようで芯を外しているのかわかりませんが、そこまでダメージがあるようには見えませんでした。ただ、次のアフマダリエフにもカルデナスと同じブレーン(トレーナーのジョエル・ディアス)がついていますからね。簡単な戦いにはならないかもしれません。アフマダリエフに勝ったらサウジでニック・ボール、1年後には中谷潤人……。ちょっと大変すぎますね。
――一部で囁かれている「井上選手がピークアウトしている」という見方についてはどう思いますか。
山口 どんなに偉大なチャンピオンでも人間なので、加齢とともに体は消耗しますし、反射能力も確実に落ちていく。それ自体は仕方のないことです。ただ、今回の試合に関して言えば、尚弥選手の「衰え」というのはまったく感じませんでした。
