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「大谷翔平人気でバッティング手袋が売れています」高校野球でも大谷翔平ニューバランスが大ヒットだが…「スパイクは意外と売れていない」理由 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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posted2025/04/16 17:01

「大谷翔平人気でバッティング手袋が売れています」高校野球でも大谷翔平ニューバランスが大ヒットだが…「スパイクは意外と売れていない」理由<Number Web> photograph by Getty Images

大谷翔平人気で、高校野球でもニューバランスの手袋が売れているという

 手のひらの部分の革を厚くすることで「握りごたえ」をよくし、結果、スピードが増すというのがメーカー側の理論です。プロだと中日の高橋宏斗投手、日本ハムの伊藤大海投手などが使っています。健大高崎の最速155km右腕、石垣元気君が使っていたのもミズノの「球が速くなるグラブ」でしたね。ただ、グラブの形状や硬さを球速アップにつなげるという考え方はミズノだけではなく、ここ数年、野球界の1つのトレンドといっていいんです。早実のエース左腕、中村心大君が使っていたグラブはNEOLABという野球アカデミーのオリジナルグラブで、運営者の内田聖人さんは早実OBでもあります。中村君は実際、球が速くなっているんですよね。石垣君もやはり野球指導の専門施設DIMENSIONINGというところで北川雄介さんの指導を受けているそうです。北川さんもこの業界ではすごく有名な方です。今は小学生でも野球スクールに通って、動作解析を行うような時代です。体をどう使うのがベストなのかを考えると、そのために道具はどういうのがいいのかというところに必然的に行き着くんです。グラブでいうと、全体的な傾向として、いかに硬さを保つかというところがポイントになってきているんです。

ローリングスのグローブが売れる理由

――柔らか過ぎるとダメなわけですか。

 グラブ側の手をうまく使うには硬い方がいいというのが今の主流ですね。優勝した横浜高校の主戦、織田翔希君は1、2回戦では黄色いグラブと黒いグラブを併用していたんです。あれは試合中、汗が染み込んで段々と柔らかくなってくるので、途中で交換していたんです。ただ、3回戦以降は秋から使い慣れている茶色いグラブに変わっていました。やっぱり使いにくかったのかもしれませんね。

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――織田君はローリングスでしたよね。

 横浜高校は今回、スタメン9人中6人がローリングスでした。山梨学院はショート以外、全員ローリングスでした。ローリングスのグラブも外へ力が逃げるのを防ぐ、型崩れしないグラブというのが売りです。あと、ローリングスはラベルのカラーパターンが22種類もあるんですよ。横浜の選手は全員、ラベルの色が違ったんじゃないかな。そこで差別化できるというのは子どもにとって結構、魅力なんです。特に高校野球は革部分の色の基準が厳しいので、そういうところで遊びたい。うちにもいろいろなタイプのラベルがストックされていて、交換することもできます。

――ラベルはグラブの顔というか、配色が変わるだけでぜんぜん印象が変わりますもんね。

 あと、織田君のグラブはウェブ(親指と人差し指の間のネット)の部分がオリジナルのものでした。カタログを見ても載っていなかったので。かつて大阪桐蔭の根尾(昂)君が根尾モデルとでも呼ぶべきオリジナルカラーのバットを使っていましたが、織田君のグラブも織田モデルと言っていいと思います。ちなみにもう1つ言うと、石垣君らが履いていたミズノのスパイクは「球が速くなるスパイク」です。

「球が速くなるスパイク」とは…?

——球が速くなるスパイクもあるんですか? 普通のものと、どこがどう違うんでしょうか。

【次ページ】 「球が速くなるスパイク」とは…?

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