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佐野海舟はなぜ選ばれなかったのか?「招集していない選手のことは…」“いつも通りのメンバー”から読み解く森保監督の思惑「まだ何も決まっていない」
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戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2025/03/14 17:01

ドイツ・ブンデスリーガで活躍を続ける佐野海舟(24歳)。所属するマインツはCL圏内の3位につけている
森保監督は選考について、こう説明している。
「去年の11月から間が空いたなかで、これまで戦ってきたこと、やってきたことを共有し、もう一度再確認して戦うことができる、勝つためのベストなメンバー編成を考えた」
タブレット端末などを使ってあらかじめ情報を共有し、トレーニングやミーティングの効率化を図ることはできる。ただ、ピッチ上でなければ確認できないことはある。およそ4カ月ぶりの実戦に少ない準備期間で臨むことを考えると、代表から一定期間離れている選手や、これまで招集したことのない選手を加えても、試合で使うのは難しいだろう。
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選手によっては所属クラブと代表チームでシステムが異なり、同じシステムでもタスクは変わってくる。それもまた、「いつも通り」の理由にあげられる。戦列復帰から間もない守田が選ばれ、佐野を招集しなかったのも、森保監督が佐野を評価していないのではなく、スケジュールが一番の理由だったと考えるのが妥当だ。
会見で強調「まだ何も決まっていないので」
こんな考えがあるかもしれない。
20日のバーレーン戦に勝利すれば、W杯出場を決められる。次のサウジアラビア戦は選手をテストできる余裕が生まれるから、町野や佐野を入れておいてもいいのでは、というものだ。
ここはもう、監督の判断である。
最終予選はここまで6試合を消化し、日本は5勝1分の勝点16で首位に立っている。だが、W杯出場はまだ決まっていない。他でもない森保監督も、「選手を試すというよりも、まだ何も決まっていないので、目の前の勝利にどれだけ我々が力を発揮できるかということと、W杯の出場権を確実に勝ち取ることを優先順位の一番として考えている」と強調する。
「いつも通り」のメンバーでも、テストできることはある。
昨年6月から3-4-2-1のシステムが基本となっているが、サウジアラビア戦で4-2-3-1や4-3-3を採用することには意味がある。コアメンバーで異なるシステムにトライし、戦術的な幅を拡げることも、W杯へ向けた強化として必要なことだ。