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テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
大谷翔平が「実力がなくて引退、って時が来るかもしれないし」と語った26歳時…微妙な心理と「二刀流を当たり前と思うな」エンゼルス元監督の重い言葉
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byNanae Suzuki
posted2025/03/18 11:05

2023年、エンゼルス時代の大谷翔平。唯一無二の二刀流として評価を得るまでに至った彼は、どんな言葉を残していたか
最後まで健康にね、どちらもやって、ただ単に実力がなくて引退するっていう時が来るのかもしれないし。
そこもそうですね。あまりその先のことまで、可能性のある話というか、考えはしていますけど、必ずこうあるべきだというのは特には考えていないですね。1年1年勝負の年だと思って、駄目だったら駄目だったで、来年につなげるのか。もう無理だと思ったら引退するのか。それくらい出し切る気持ちで毎年やることがまずは大事だなとは思っています」
柳原「二刀流の継続は肉体的な部分とチームの需要が大事になるということでしょうか?」
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大谷「どちらも(大事)ですね。もう限界にきているのか。もう投げられないとなったらば、じゃあ打つ方でやればいいじゃないかと思う時が、もしかしたら来るかもしれない。バッティングとして限界が見えて、ピッチャーの可能性がもっともっと広いと思うのであれば、ピッチャーだけやるということもあるかもしれない」
柳原「どちらかに絞るとしても、投打どちらかはわからないということですよね」
大谷「それがわかっていればいいと思うんですけど。誰も先が見えているわけではないので……」
26歳の微妙な心理状況と、3年後の二刀流観
このインタビューを行ったシーズンは、1度目のトミー・ジョン手術から2年ぶりに投手復帰したが、わずか2度の登板に終わっていた。翌シーズン(2021年)は球団を含め周囲を納得させるためにも、二刀流として結果を出さなければならないのは明らか。だから、「たとえば、もう一回ケガをして」という言葉は、「もうケガはできない」という強い覚悟と責任感だと受け取れた。
ここまで二刀流について踏み込んだ答えが返ってきたのも初めての経験だった。「若手でもベテランでもない当時26歳の微妙な心理状況」が読み取れて、回答を聞きながら驚いたことを覚えている。
その3年後の2023年7月10日、オールスター戦前日会見では、ある記者から「二刀流の原動力となっているものは何か?」と聞かれ、大谷はこう語っていた。
「ゲーム(試合)自体が好きですし、打つのも投げるのも好きなので、楽しんでまずはやるのが一番だと思います」