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“圧巻KO”も中谷潤人は絶好調ではなかった?「いつもより粗いな」長谷川穂積の視点…西田凌佑との統一戦も展望「多くの人が西田を過小評価している」 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byNaoki Fukuda

posted2025/02/28 17:47

“圧巻KO”も中谷潤人は絶好調ではなかった?「いつもより粗いな」長谷川穂積の視点…西田凌佑との統一戦も展望「多くの人が西田を過小評価している」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

無敗の挑戦者を相手に、3ラウンドで衝撃的なKO勝ちをおさめたWBCバンタム級王者の中谷潤人。IBF王者・西田凌佑との統一戦が期待される

「井上選手と来年やるという話になりましたから、たとえ勝っても『しょうもない』と言われるような試合は許されない状況になっている。圧倒して期待を膨らませないといけない。プレッシャーは相当なものだと思います。本人はプレッシャーを感じていることを微塵も見せませんけど。これからは対戦相手だけでなく、試合ごとに大きくなるプレッシャーという敵も乗り越えないといけない。ただ、彼が挑む井上選手はそういう試練を乗り越えてきた選手です。我々の大きな期待を何度も超えてきた。そういう相手に挑むのですから、中谷選手に対する周囲の期待度がグングン上がるのは当然かもしれません」

「多くの人が西田選手を過小評価している」

 話を試合に戻そう。長谷川さんは中谷のコンディションがベストではないと見たが、その実力はやはりずば抜けていると感じた。

「倒したシーンは圧巻でした。最初のダウンはいいのが入って、最後にボディに左ストレートも入れてる。あれはコンビネーションじゃなくて、体が勝手に反応して打ってるパンチなんです。バンバン、あっボディ空いてる、ズドーンとスムーズに瞬間的に判断できるところが中谷選手の強さです。一連のパンチをすべて当てましたからね。さすがです。最後の左フックも強烈なパンチでした。あそこで左ストレートではなく、左フックというのが『やるな』と思いました。練習してきたパンチなんでしょうけどね」

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 試合後、IBF王者の西田凌佑(六島)がリングに上がり、中谷との統一戦をアピールした。IBFの認可が下りればという条件付きながら、中谷は試合翌日「以前から統一戦を望んでいた。現実味が増してきた」とリング上での約束を歓迎した。この対決には長谷川さんも大きな期待を寄せている。

「西田選手はピカイチのテクニシャン、中谷選手とは技巧派サウスポー対決になります。間違いなく中谷選手が今まで戦ってきた相手の中で一番攻略しにくい選手でしょう。多くの人が西田選手を過小評価していると思いますよ。彼は数センチ単位で距離を作れるし、ディフェンスもいい。チャンピオンになって自信もついて、初防衛戦でKO勝ちして、今が一番強いときです。確かに中谷選手は強くて予想は有利だと思いますが、私の予想は6-4というところ。7-3はない。それほど西田選手は強い。どちらが勝つか分かりません」

【次ページ】 統一戦実現なら「中谷選手が有利。ただ…」

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