「目標を見失ってしまったんです」あの“春高ヒロイン”が23歳で電撃引退した真相…二見梓が今明かすビーチバレー転向「今度こそやり切った、と」 

「ビーチバレーはチーム競技のようだけど、個人競技に近くてなおかつペア競技。バレーボールとはまったく違う競技でした。バレーボールはリベロを入れて常時コートに立てるのは7人でベンチに監督がいる。ビーチバレーは2人。監督もベンチにいません。責任感がより増すというか。バレーボールは自分が試合に出られないときもあるし、自分より調子がいい人が出てそれで負けたら仕方ないと思うときもありました。でもビーチバレーは、調子が悪くても身体のどこかが痛くても、絶対に試合に出なきゃいけない。勝ちにつながる責任の比重が大きいんです。そういうところが、本当に新鮮だった」

ビーチバレーで現役復帰　©Kazuaki Matsunaga

1年目から国内ツアーで優勝

　さらに二見は、「今振り返るとビーチバレーの方が自分の性格上、合っていたかもしれないですね」と付け加えた。

「バレーボール時代は監督に、遠慮するなとずっと言われてたんですよ。コートの中では『私はいいから……』という雰囲気が出ていたみたいで。でも、ビーチでは必然的に遠慮はしていられない。集中すべきところがより明確で、そういう部分も合っていたかもしれない」

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　競技スタイルだけではない。生活も大きく変わった。

「バレーボールはスタッフに環境を作っていただいて選手はチームのために自分の力を発揮するかたちが主だと思いますけど、私たちは試合のエントリー、交通手段のチケットの手配、ビザの手続き、スカウティングやコート整備など、すべてセルフでやっていたので、1日1日の過ごし方が違いました。とくに試合のエントリーは漏れがないように、パートナーとの会話も必要です。自己責任でやっていました」

インタビューに答える二見梓さん

　日頃の行いと結果のすべてが自分に返ってくる。それがビーチバレーという競技だ。

　二見は2017年から長谷川暁子（NTTコムウェア）とペアを結成。持って生まれた高さという武器を遺憾なく発揮し、1年目に国内ツアーで初優勝を果たすと、日本代表として東京オリンピック出場をめがけてまっしぐらに走り続けた。

東京五輪出場は叶わず…会見で流した大粒の涙

　大一番となったのは、優勝すれば東京オリンピックの出場切符を獲得できる2021年『東京2020ビーチバレーボール日本代表決定戦』だ。実力が均衡している中、敗者復活戦が設けられたこの大会は、どのチームにもチャンスがあった。

　長谷川/二見組は敗者復活戦から勝ち上がり、準決勝へ進出した。若手の台頭と言われていた鈴木千代/坂口由里香組に対し、第1セットを先取し次セットもリードしていたが、勝利目前の第2セットを逆転で奪われ、最終セットも落とした。ここで東京オリンピック出場の望みが絶たれた。

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