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「お前、死んだような顔しとんな」DeNA吉野光樹を覚醒させた伊勢大夢と三浦監督の助言…驚異の奪三振率の“脱力投法”で「今年はハマスタで勝つ!」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/01/27 11:00
昨シーズンは故障から復帰してプロ初登板を果たし、CSジャイアンツ戦にも登板した吉野光樹が復活秘話と今季への決意を語った
「普段はのほほんとしている方なのですが、自分の出番が近づいているなかでの準備の仕方やスイッチの入れ方は本当にすごいなって思いました」
「おまえ、死んだような顔しとんな」
吉野は一昨年のプロ1年目、腰の疲労骨折もあり、その大半を治療とリハビリに費やしている。大卒社会人ドラフト2位の即戦力として入団しているのにもかかわらず、責任を果たせないもどかしさがつきまとった。そんな吉野の様子を見て、声を掛けたのが伊勢だった。
「DOCK(ファーム施設)でトレーニングしていると、伊勢さんから『おまえ、死んだような顔しとんな』って言われたんです。そんな顔しているつもりはなかったんですけど……。それからよく食事に連れて行ってもらうようになって『今は我慢して、頑張らなきゃダメだよ』とか『食って元気になれ』と、いろいろとお話をしてくれて、本当にありがたかったです」
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吉野から高校時代の同級生会があると聞くと、伊勢は「おまえじゃ払えないだろ」と冗談を言いながら、全額払ってくれたこともあったという。
「なにからなにまでお世話になって、本当に助かっています。伊勢さんは『応援してくれる人のためにやらなきゃな』って。本当そう思いましたし、伊勢さんも含め、いろいろな方に恩返しするためにも頑張らなきゃいけないなって」
今季から先発に挑戦する伊勢との共闘に期待は高まる。
おだやかな中に漂う芯の強さ
吉野と話していて感じるのは、口調はおだやかで丁寧だが、言葉の端々に熊本県出身の九州男児らしい芯の強さが見て取れることだ。また苦しい時間を経てきているからこその情念も、吉野には漂っている。