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[2023WBCドキュメント]目覚めた頂点への渇望

posted2024/12/31 09:00

 
[2023WBCドキュメント]目覚めた頂点への渇望<Number Web> photograph by Getty Images

準決勝メキシコ戦、1点ビハインドの9回に二塁打を放ち、塁上で吠えて仲間を鼓舞した

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Getty Images

野球の素晴らしさ、面白さを子供達に伝えたいとWBCに臨んだ二刀流。絶体絶命の局面では、自らのバットと気迫で日の丸戦士たちを鼓舞し、米国との決戦ではクローザーとして盟友をねじ伏せ、世界の頂点に立った。この大舞台での激闘で味わった興奮、歓喜が、新たな旅の始まりとなる。

 野球の伝道師になる。

 大谷翔平は2023年の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への参加理由を、こんな風に語っている。

「僕自身が一番野球を楽しい時期に、そういうプレー、試合を見させてもらって、いつか自分がここでプレーできたら面白いだろうなと、一つの夢として思っていた。今度はこの大会で自分たちのプレー、戦う姿を見て、子供達がまた同じ思いを抱いてくれたらいいなと思う」

 岩手・奥州市立水沢南中学校の2年生のときに大谷少年が観たのが、2009年のWBC第2回大会だった。日本は決勝で韓国と激突。延長戦の末にイチロー外野手の決勝タイムリーで、第1回大会に続く連覇を果たした。その記憶が大谷の日の丸への原点となったのである。

 あれから14年が経ち、大谷はイチローと同じメジャーリーガーとなっていた。そしてあの時、イチローや日本代表の選手たちが自分に伝えてくれたように、子供たちに野球の素晴らしさ、面白さを伝えたい。勝つことの喜び、世界一の選手となることが決して夢でないと伝えたい。そのためにWBCの舞台に立つときがやってきたのだ。

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