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「巨人を後悔させてやる」星野仙一が大乱闘で王貞治に拳を向け、”落合博満獲得合戦”をひっくり返したわけ…「根底にはドラフトの遺恨が」
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2024/12/28 11:06
1987年6月11日、宮下がクロマティに与えた死球からの乱闘で、王貞治監督に詰め寄る星野仙一(当時40歳)
「フロントから本社まで全部、星野が説得して実現させてしまった。もちろん勝つために落合が必要だった。同時に巨人に一泡吹かすことが、チームを変える一歩になるという思いもあった。翌年の“ベロビーチジャック”もそう。その2つが大きかった」
就任1年目の'87年シーズン開幕からユニフォームをロサンゼルス・ドジャースとそっくりのデザインに変更。2年目の'88年には米・フロリダ州ベロビーチでドジャースとの合同キャンプを行った。川上が「ドジャースの戦法」を学び、V9の礎を築いた聖地を星野がジャックしたのである。
激しさを演じていたが、本質は繊細な優しい人
星野の視線の先には常に巨人があった。打倒巨人が本気だから、選手にも本気を求める。拳を振るってでもファイティングポーズをとらせた。その結果、'90年にも巨人と再び派手な乱闘劇を演じている。

