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「やりたくないならプレーしなくていい」→「彼はわかっている」…今ではコーチも絶賛 バスケ代表・比江島慎(34歳)が“ドン底評価”を覆せたワケ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJIJI PRESS
posted2025/01/11 11:05
2021年の中国との親善試合ではトム・ホーバスHCから「気持ちが見えない」と叱責された比江島慎(34歳)。それでもその後の活躍で評価を覆して見せた
だから子どもから現役の選手まで、日本代表に入る可能性のある全ての人たちに向けて、比江島は秘かにこんな想いを抱いている。
「国を背負って戦うのは、本当に素晴らしいことなので。日本代表でしか味わえない達成感は間違いなくあります。また、他の国の選手たちと戦ったりすると、日本とは違うバスケットのスタイルにも触れられます。それは楽しくもあるし、そういうものに触れることで、一皮剥けて上のレベルの選手になれたりもするので。みんなには、ぜひ、あの舞台を頑張って目指してほしいです」
その感覚は11月の活動でも変わらなかった。
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事情を知らない人たちは、「代表戦に2試合出場しただけではないか」と言うかもしれない。しかし、前述のように世界的にも類を見ないような過酷なスケジュールで行なわれているのがBリーグだ。だから、代表活動が行なわれる期間を、大半の選手は大きな負担から逃れる時間にあてている。実際、このタイミングで国内外のリゾートへ行き、心身共にリフレッシュをする選手は多い。
パリ五輪後も代表戦に出場したワケは…?
代表に参加するというのは、そうした機会を手放してまで、バスケのためにさらなる時間と労力を注ぐことを意味する。だから、代表の本来のキャプテンである富樫勇樹も比江島の決断をリスペクトして、こう語っていたのだ。
「これだけ長く、休みなく、各Window(※シーズン中にも組まれる代表戦のこと)にずっと出てきているので、大変だと思いますよ。言葉では簡単に『まだやれるでしょう』と言えるかもしれないけど、気持ちの部分だったりは、やはり難しいので」
では、なぜ、少なくとも今回までは代表のユニフォームをまとって戦おうと考えたのか。比江島は言う。
「やはり、パリ五輪で負けたままで終わって、自分の中でもモヤッとする部分がありました。それに、次のW杯や五輪に向けての再スタートでもあったので。自分がそこに少しでも関わることで、『新しい選手たちに、何か残せるものがあれば……』と考える部分がありました。もちろん、今回は宇都宮で代表戦(モンゴル戦)がやれるというのは大きかったですけど、そういう色々な理由が含まれていたんです」
そこまで説明した上で、比江島は改めて力を込めた。
「だから、この2試合に参加してよかったです」
<次回へつづく>