核心にシュートを!BACK NUMBER

「やりたくないならプレーしなくていい」→「彼はわかっている」…今ではコーチも絶賛 バスケ代表・比江島慎(34歳)が“ドン底評価”を覆せたワケ 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2025/01/11 11:05

「やりたくないならプレーしなくていい」→「彼はわかっている」…今ではコーチも絶賛 バスケ代表・比江島慎(34歳)が“ドン底評価”を覆せたワケ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2021年の中国との親善試合ではトム・ホーバスHCから「気持ちが見えない」と叱責された比江島慎(34歳)。それでもその後の活躍で評価を覆して見せた

 そうした状況が、あのハーフタイムの叱咤激励を呼んだのだった。ただ、母親譲りの負けず嫌いの性格があり、それを武器にここまでのし上がってきていたのが比江島という選手である。

「比江島はもう(求められることが)わかっている」

 ホーバスの求めるものに少しずつ応えていき、気がつけば、試合だけではなく、練習でもよく声を出すようになっていた。2024年7月、報道陣に日本代表の練習の一部が公開されたタイミングで、ホーバスHCは嬉しそうに話した。

「比江島はもう(求められることが)わかっているから、今日はわざと大きな声を出していたね」

ADVERTISEMENT

 比江島は、苦手なことを表現したうえで、得意とするプレーも出していくことで、ヒーローになった。そんな変遷を経た上で迎えた、2024年11月の2試合を比江島はこう振り返る。

「やはり、国を背負うというのは、ただ楽しければいいというものではないじゃないですか。練習だって厳しいし、プレッシャーもかかります。代表の試合までの過程は、フィジカル的にもメンタル的にも、きついものです」

 練習時間1つとってもそうだ。現在の代表チームの練習がハードであることはホーバスHC自身も認識している。他ならぬ本人が著書で、こう記しているくらいだ。

「私はアメリカをはじめ、海外チームのコーチとよく情報交換をしていますが、日本代表が取り入れている午前と午後の『2部練習』を採用するチームは少ないと思います。代表チームのような場合、全体練習は午前か午後に1時間半から2時間程度というケースが一般的ではないでしょうか」

 ただ、パリ五輪の時点で代表候補選手のなかにNBAでプレーしている選手はたった1人しかおらず、フィジカル的にも世界と比べて劣っているのが日本代表だ。そのようなチームが世界の強豪相手に勝とうとする以上、ホーバスHCはハードな練習を選手に求めているのだ。それは選手もよくわかっている。比江島もその一人で、自分自身や日本代表の成長のために、そこに意義を見出している。

「大変だったとしても、やはり、代表戦が終わった後の達成感などは何物にも代えがたいものがあるんです」

【次ページ】 パリ五輪後も代表戦に出場したワケは…?

BACK 1 2 3 4 NEXT
#比江島慎
#宇都宮ブレックス
#シーホース三河
#富樫勇樹

バスケットボールの前後の記事

ページトップ