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「増えるって素晴らしいこと」りくりゅう失意の2位も、後輩の台頭に祝福…ジュニアGPファイナルに進んだ“期待の若手ペア”とは?「体重が5キロ増えました」
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田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2024/12/12 17:00

ジュニアGPファイナルに出場した清水咲衣&本田ルーカス剛史
清水と本田をつないだマルコットコーチ
清水も本田も、シングルでは日本代表として海外の大会に派遣されるほどのレベルに達した選手だった。その二人がペアを組むことになったのは、日本スケート連盟が定期的にペア転向への希望者を集めて開催するトライアルでのことだったという。
「去年(2023年)の4月のあたまのペアのトライアルで、ブルーノ(・マルコット)コーチが来ていて、僕たちが滑ってるのを見てここはあってるんじゃないかと言っていただいた」と本田は二人が組むことになった経緯を説明した。三浦&木原のコーチでもあるブルーノ・マルコットは、長年日本スケート連盟の依頼を受けてペア強化のサポートをしてきていた。その彼が二人のスケーティングを見て組むことを薦めたのだという。
「数年前くらいから結構ペアやってみないと数回声をかけてもらっていたんですけど、どういうものか全然知らなかった。トライアルが開催されると聞いて、良い機会と思って参加しました」と清水。「今まで全く知らなかった技を習得していくうちに、ぺアはこんなに楽しいんだ、と……」そう言って笑顔を見せた。
「大きな成績を残したいという気持ちで転向しました」
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一方本田は、シングルとしての活動をいつまで続けるのか悩んでいたタイミングでもあったという。
「(シングルとして)続けていたらたぶん今シーズンで引退していた。もちろんペアも大変な選択肢であることをわかっているんですけど、大きな成績を残したいという気持ちで転向しました」
彼の言う大きな成績とは、もちろん世界のトップにまで到達した三浦&木原の存在を意識していたことは間違いないだろう。二人は日本人同士のペアがここまでできるということを、世界に、そして後輩たちに見せてくれた。
二人が直面する“ペアの難しさ”とは
現在京都の木下アカデミーアイスアリーナでトレーニングしている二人が、ペアになってからもっとも苦労しているのはどういうところだろうか。そう聞くと清水が最初に「スロウジャンプ」と答えた。
「自分一人で跳ぶのとは違う感じ。自分だけで跳んでいってはだめだし、まかせっきりというのもだめだし、戸惑いました」
一方本田は「全部難しかったんですけど……」と言葉を探し、「最初の大きな壁はツイスト。男性のパワーが……投げる時のパワーがおそるおそるやっちゃったり、タイミングが合わなかったり。ペアならではの技ですし、それが一番難しかったかなと思います」と答えた。