- #1
- #2
日々是バスケBACK NUMBER
八村塁が“協会批判”で揺れるバスケ界「(ホーバスHCと)ボタンの掛け違いが始まったのは…」「誰かひとりが悪者というわけでもない」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byUSA TODAY Sports/Reuters/AFLO
posted2024/11/18 11:03
日本代表に関して、あまり多くを語ってこなかった八村塁(26歳)
もともと、ホーバスと八村の関係は、2人が会う前のボタンの掛け違いから始まっている。去年のFIBAワールドカップ後に沖縄市役所で開催された記者会見中の、ホーバスHCのコメントだ。
W杯でアジア1位の成績を収めた日本は、パリ五輪出場権を獲得。この会見で「NBAシーズンへの準備を優先させてW杯には出場しなかった八村塁と、パリ五輪に向けてどうコミュニケーションを取っていくか」と聞かれたホーバスHCは、次のように答えた。
「彼がやりたいんだったら、彼から声かけていいと思います。私たちはスタイルは変わらないです。だから彼が来るんだったら、私たちのバスケをやります。やりさせます(やらせます)。当たり前。彼は入ってほしいけれど、彼がやらないんだったらこのメンバーでいいチームを作りましょう。自信あります」
八村のことを突き放したようにも、軽んじているようにも聞こえる言葉に、八村や彼のエージェントは激怒したという。後にホーバスと協会は、ホーバスにとって母国語でない日本語で語ったことで誤解が生じたとして、釈明のステートメントを出して、一件落着したようにも見えたが、そのわだかまりは大きかった。
LAで対面、前向きな言葉も
今年4月、ホーバスはロサンゼルスを訪れ、パリ五輪に向けて、八村と対面した。実はホーバスと八村が直接会うのは、これが初めてのことだった。直接会って話すことでわだかまりを解き、パリ五輪に向けてお互いに協力していく第一歩になるようにという意図のミーティングだった。実際、そのミーティング自体は成功し、八村からも前向きな言葉が聞かれたという。
とはいえ、次に2人が会ったのは八村が合宿に参加した6月下旬。NBAの労使協定による国際大会前の代表練習参加日数の規制もあって、八村とホーバスが信頼関係を築くことはできなかった。