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「インドネシアがサッカーに熱狂」報道は真実か? 現地で記者が目にした“意外なリアル”「イギリスのチームのユニフォームのほうが売れるんだ」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2024/11/15 17:02
9月10日のW杯予選オーストラリア戦。国章のガルーダを掲げて応援するインドネシアのサポーター
そう考えると、キックオフ前の段階ではいつもと大きな違いはない。インドネシアやタイでは、イングランド・プレミアリーグの人気が高い。その舞台に立つ遠藤航や三笘薫が、日本代表にいるのだ。注目を集めるのは、自然な流れだろう。
インドネシア代表を待ち受ける“厳しい現実”
インドネシア代表はオランダにルーツを持つ選手を中心に、協会をあげて帰化させてきた。10月の中国戦で負傷交代したCBミーズ・ヒルハースの欠場が決まると、やはりオランダ生まれのCBケビン・ディクスがすぐさま初招集された。
チームを指揮する元韓国代表MFの申台龍監督は、インドネシアメディアの取材に対して「ディクスは100パーセント出場する」と話している。その後も「日本戦へ向けて猛トレーニングをしている」と報じられており、チームにとって重要な一戦でいきなりデビューすることになりそうだ。
帰化選手が段階的に増え、「個」のクオリティが上がっているのは間違いない。そうは言っても、オランダ代表入りが叶っていない「個」である。インドネシアで生まれ育った選手との比較ではレベルが上がったとしても、アジアにおける相対評価としてはどうか。
最終予選ではサウジアラビア、オーストラリア、バーレーンと引き分けたものの、勝ち切れていない。中国には1対2で敗れている。国としての地力が上がってきているとしても、まだまだ課題があると言うべきだろう。
さらに言えば、選手の連係面では明らかに日本が上回る。7万人の観衆の後押しがあるとしても、インドネシア代表には厳しい現実が待ち受けている。英語表記の頭文字を並べた「STY」という愛称で呼ばれる韓国人指揮官も、「あらゆる局面で自信を持たなければならない」と話している。
さて、試合後のスタジアムは、ジャカルタ市内は、どのような空気に包まれるのだろう。
当地のサッカー熱が爆発するとは……率直に言って考えにくい。