首が悪かったというけれど、思い切って半年くらい休んで、首を鍛え直して出て来てもよかったのでは？　と思うんだ。昔から首を痛めたお相撲さんはたくさんいたのね。押し相撲でならした元関脇の富士櫻さんなんて、首の骨が折れたことがあるんだよ。それでもリハビリして鍛え直して、長い間土俵を務めたんだ。押し相撲のお相撲さんが僕は大好きで、貴景勝のこともずっと応援していたんだ。ほんとに押し相撲は波に乗れないと一番キツいし、175センチの小さい体でよく頑張ったよ！

写真は2016年の夏場所。貴景勝（当時・佐藤）が新十両のとき。身長175cm、体重165kgと力士としては小柄だった　©JIJI PRESS

　琴櫻と豊昇龍の大関ふたりが振るわなかったなぁ。ふたりとも8勝7敗と、やっと勝ち越したの。豊昇龍は、頭で当たっていかないと、あの体で胸から行っても無理だよ。前に攻める力がないし、オジサン――朝青龍とは体のつくり方が違うしね。

　琴櫻は、最初は4連勝と期待できたんだけど体が動いてなかった。脚が出てないし体が浮いてる。体の大きい人は、まず当たっていかないとそのあとに何も出来なくなり、流れが悪くなっちゃう。大関二人がこんな感じだったから、そりゃ大の里も優勝できるよなぁ。

「若隆景と王鵬がよかったね」

　今場所は、何と言っても若隆景が良かった。大の里戦で勝ったのももちろん、12勝して三賞もらって、彼のお陰で今場所が面白くなったよね。ケガで長いこと休場して幕下まで番付が落ちたのに、この活躍ぶりはたいしたものだよ。体が張っているし、稽古を積んでる動きなんだよね。若隆景を見ていると、休むことも大事なんだと思える。

　あと、王鵬がよかったね。今場所は攻めていたし2大関など大物を食っていた。腰が重くなっていて、最後まであきらめない相撲だったよね。スロースターターのイメージがあるけど、ここのところジワジワと強くなって来てる印象。これからも自分の相撲に自信を持っていってほしいな。息子をここまで褒めたんだから、父ちゃん（元関脇貴闘力）、今度、焼肉おごってよね（笑）。

苦言「付け人の扱い方に怒ってるよ」

　今場所は微妙な判定で、物言いもつかずに首をかしげたくなる相撲があった。

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