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「井上尚弥に破壊された?」あのフルトンが復帰戦であわやKO負け…フェザー級は魔境なのか「トレーナーに聞く“井上ショック”の後遺症」
posted2024/09/17 11:02
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
L:Naoki Fukuda
「井上にKO負けした際のダメージで、フルトンが打たれ脆くなった可能性はあると思いますか?」
スティーブン・フルトンの前チーフトレーナーであるワヒード・ラヒームにそんな質問を投げかけた瞬間、顔色が少し変わったように感じられたのはおそらく気のせいではなかったのだろう。
井上戦から14カ月…フェザー初戦でダウン
元WBC、WBO世界Sバンタム級王者スティーブン・フルトン(アメリカ)は9月14日、ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われたフェザー級10回戦でカルロス・カストロ(アメリカ)に判定勝ち。昨年7月、井上尚弥(大橋)に8回TKOで敗れて以来、約14カ月ぶりの復帰戦を飾った。ただ、その内容自体は必ずしも優れたものに見えなかった。フェザー級への昇級初戦となった一戦でカストロのサイズとリーチに苦しみ、5回に右ストレートでガードを突き破られてのダウン。8回にまたショートの右をカウンターで受け、ダウン寸前に陥るシーンもあった。
「接戦だったから、8ラウンドを終えたインターバルで残りのラウンドを奪わないと勝てないぞとセコンドから声をかけた。ダウンから立ち直り、実際に終盤を制したことはスティーブンの気質を示している。厳しい試合だったが、素晴らしい勝利だ」
ラヒームのそんな言葉通り、9、10回に強打を決めてポイントを手繰り寄せたのは、長距離走も得意でスタミナに自信のあるフルトンならでは。ピンチを迎えたラウンド以外はより的確にパンチを当てており、判定勝利は異論のないものだった。
それでもこの試合を見て、今後のフルトンのキャリアに不安を抱いたファンは少なくなかっただろう。この日まで30勝14KOと必ずしもハードパンチャーとはいえないカストロのパンチを浴びて、2度も明白なダメージを受けたのはやはり気に掛かった。
以前より脆くなったのではないか……? 案の定、あるボクシング関係者からはこんな不躾なメッセージも届いた。
「フルトンは昨夏、井上に破壊されたのではないかと思う」