- #1
- #2
核心にシュートを!BACK NUMBER
三笘薫の“テレビに映らないプロ意識”「開始8分で水を」「スパイクに芝生や土1つすら…」酷暑の日本代表戦で記者が目撃「負担を考えてです」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJFA/AFLO
posted2024/09/15 17:04
日本代表9月シリーズで圧巻の突破力と決定力を見せた三笘薫。そのプレーの土台には、圧倒的な準備する力にある
ブライトンでプレーするときは基本的にミックス式を履くし、2024年1月のアジアカップでも、ヨーロッパとは土質が違うものの主にミックス式を履いていた。
ただ、今回のバーレーン戦では普段とは異なり、固定式を採用した。その理由を試合後にこう明かした。
「基本的にはミックスですけどね。今日の芝に合わせてです。(地面が)硬かったので反発だったり、負担を考えたからです」
その判断の的確さもさることながら、目立っていたのはスパイクのキレイさだった。
試合直後だというのに、芝生や土の跡ひとつすら見えない。それだけ三笘がギアを大切に扱っていることがうかがえる。三笘が試合後の取材エリアに姿を現わすのがかなり遅かったのも、スパイクのケアと無関係ではないだろう。
石川祐希との対談で語った“18歳の決断”
三笘といえば、川崎フロンターレユース時代にトップチーム昇格を提示されたが、それを断って筑波大学に進んだことが有名だ。その理由として、Number 1100号のバレーボール日本代表・石川祐希との対談でこう明かしている。
「4年間、体を作り直すために断り、大学進学を決断したんです」
また、2023-24シーズンの2月に右腰を負傷してシーズン中の復帰が絶望的になると、新しく体を作り直すことを考え、試合に出場しない時期にしかできないトレーニングに取り組んでいたという。
誰よりも体のセンサーに敏感なのが三笘だ。
もちろん、彼だけではない。
たとえば堂安律は今オフに宮崎に行き、これまでとは異なるフィジカルトレーニングに取り組んだ。そこでは練習の質だけではなく、量を増やすことにもこだわった。テーマの1つは、最初の5mのスピードを上げることだ。バーレーン戦の前半9分、三笘のクロスが上がったとき、堂安がスライディングで追いついて、ポスト直撃のシュートを放ったのは、トレーニングを積んだ成果かもしれない。
日本代表の努力と振る舞いは三笘だけでなく…
現在のフォーメーションでは相手のロングボール対応に、上下動、そしてフィニッシュに絡む仕事……。最も運動量を求められる両サイドに2人がいるのは偶然ではないだろう。それだけの準備をして、ピッチの上でハードな運動をできるからこそ、森保一監督からこのポジションを“託されている”。