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「校歌の質問はタブーなのか…」迷う現地記者に京都国際の選手・スカウトが口を開いて…「学校に言うても動かないし」高校野球ウラ話
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/08/25 11:02
今夏の甲子園を制した京都国際ナイン
選手たちは歌えることは歌えるものの、意味までは深く理解していないようだった。中には「歌えません……」と口にする選手もいた。
京都国際には韓国の歴史や韓国語を学ぶ授業があり、修学旅行は韓国へ行くのだという。全校朝礼も韓国語で、選手たちは何を言っているのかまったくわからないそうだ。
私は本サイトの担当編集者に興奮気味に取材報告をした。こんな高校があるんだよ、と。ところが、編集者は難色を示した。
「京都国際の校歌の記事は、ネットが荒れるんですよ……」
そういうものなのか。私は正直、そのあたりの事情に疎かった。
京都国際のことをネットで調べた。同校は1947年に在日韓国人の民族学校として設立された。ところが、その後、経営が傾き、2004年に現在の校名に変更し、同時に日本人も受け入れ始めたのだという。
野球部は1999年に創部されており、当時はほとんど韓国人だったようだ。今、全校生徒は138人で、そのうち約8割が日本人だ。野球部員は全校生徒の約半分にあたる61名おり、彼らも大半が日本人だという。
京都国際は2019年から5年連続で、計8人のプロ野球選手を輩出していた。過去まで遡れば16年間で11人ものプロ野球選手を誕生させている。中学生の間では韓国色の強い学校だというイメージ以上に「プロに行けるチーム」として支持されているようだった。
それでも有力選手が集まる理由
これだけ特殊な学校で、なぜ、こんなにも優秀な人材が集まってくるのか。
2日後、準々決勝の智弁学園戦に勝利したあとの取材で、私は生徒募集を担当している岩淵雄太にへばり付き、話を聞き続けた。ドイツ製の丸眼鏡にツーブロック。ニックネームは「チャラ男ちゃん」だと話す岩淵は、人懐こく、自分の言葉を持っている人物だった。
――生徒を集めるの、大変じゃないんですか?