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「なぜ杉原愛子は出られない?」体操女子・宮田笙子(19歳)の五輪辞退で残る“2つの疑問”…異例の4人編成で考えられる“選手への影響”
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2024/07/22 11:12
喫煙・飲酒行為の発覚でパリ五輪を辞退した宮田笙子(左)と、補欠として帯同している杉原愛子
例えば男子なら内村航平や橋本大輝、女子であればロンドン、リオデジャネイロ五輪に出場した寺本明日香、リオ、東京五輪に出場した村上茉愛のような選手だ。必然、彼らがチームの軸となり、エースとされる。
宮田の不在で考えられる“選手への影響”
加えて、特定の種目に極めて強い選手がいれば、戦略を練る余地が増える。
だから五輪代表選考基準も、
1、国内選考会の個人総合上位4位
2、1と組み合わせて最も団体点が高くなる1人
とされている。「2」は、「1」のメンバーとの兼ね合いから「スペシャリスト」を選ぶ基準とも言える。
宮田は国内選考会である全日本選手権、NHK杯ともに1位であったことが物語るように、現在の日本女子では屈指のオールラウンダーで、各種目で高得点を出すことが可能なエースの役割を期待される選手だった。
「2」で選ばれていたのは牛奥。NHK杯の個人総合では9位だったが、跳馬のスペシャリストとして選出されていた。
ただ宮田の不在により、牛奥も含め、4人全員が得意・不得意に関係なく、全種目に出場せざるを得ない。
宮田がいた場合に、どの選手がどの種目に出るか、あるいはどの種目は出ないか、想定のうえで準備も進んでいただろう。しかし、「この種目は得意な順に〇〇と〇〇が」「この種目は〇〇を外して」という具合に戦略をもって臨むことができないため、選手たちによりプレッシャーがかかってきてもおかしくない。なによりも、総合力を持っている宮田が抜けたことで、得点面で大きな影響が出ることが予想される。