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“久保建英のいとこ”から“陸上界のニューヒロイン”に…16歳で800m日本チャンピオンの久保凛 日本選手権で見せた「ホントのすごさ」とは?
posted2024/07/01 06:01
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
Asami Enomoto
弱冠16歳。それでも初の大舞台で、久保凛は最後まで冷静だった。
新潟で行われていた108回目の陸上日本選手権。女子800m決勝では、優勝候補だった東大阪敬愛高2年の久保凛が、550m付近で一気に仕掛けた田中希実(New Balance)に反応。そのまま残り150mでスパートすると、そこからは後続を突き放し、同種目で8年ぶりの高校生チャンピオンに輝いた。
「この大きな舞台を楽しもうと監督とも話をしていました。楽しんだ上で勝ち切ることができたので、自分にとっても自信になります」
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初戴冠の女王は、初々しい表情とは裏腹に、しっかりと自信に満ちた口調でレースの感想を語った。
久保は和歌山・潮岬中3年時の2022年に800mで全中王者に。昨年4月に東大阪大敬愛高に進むと、8月のインターハイでは1年生ながら同種目で優勝を飾った。今年4月に行われた金栗記念では田中とのデッドヒートに競り勝ち勝利。5月の静岡国際で2分3秒57のU18日本新、高校歴代3位の記録をマークし、木南記念も制するなど、トップ選手を抑えてGPシリーズ3連勝中だった。
ここまでの久保は「先行逃げ切り」
今季の久保の走りでタイム以上に特筆すべきなのは、スタートから先頭を譲らない積極性だった。
800mをはじめとした中距離種目は基本的に、誰かをペースメーカーにして後ろにつき、どこかのタイミングでスパートをかける形が最も効率的な走りだ。だからこそ、位置取りに関しても道中で駆け引きが要求される。圧倒的な実力差でも無い限りは、普通は序盤から先頭で走り切ることはほとんどない。なにより皆がそれを分かっているからこそ、前半から飛び出すにはかなりの覚悟が要求されるのだ。
それでも久保は春のGPシリーズからこの日本選手権の予選まで、初めて挑んだシニア選手たちを相手に「先行逃げ切り」スタイルを選んでいた。そして、負けなかった。