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《本塁打トップ独走》大谷翔平、史上初「指名打者でMVP」は可能か? 投票者の本音「WARが絶対的とは思わないが…」「SNSで炎上のリスクも」
posted2024/07/02 17:03
text by
小西慶三Keizo Konishi
photograph by
Getty Images
【初出:発売中のNumber1099号[投票者の視点]史上初「DHでMVP」は可能か より】
MVP予想で大谷翔平を推す声が…
2024年公式戦の約3分の1が終わった5月下旬、MLB公式ホームページをはじめとする野球専門サイトなどが両リーグのMVP予想記事をアップした。
それぞれのサイトで名前が挙がった有力候補はア・リーグがヤンキースの主軸フアン・ソト、アーロン・ジャッジ、昨季の新人王ガナー・ヘンダーソン(オリオールズ)、ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)ら。ナ・リーグではドジャースを牽引するムーキー・ベッツと大谷翔平を推す声が多く寄せられた。
リーグMVPに専任の指名打者が選ばれたことはかつてない。もし大谷が獲得すれば史上2人目となる「両リーグでMVP」ということだけでなく、過去2度の受賞以上にインパクトのある金字塔になる。大谷は「二刀流だから凄い」のではなく、打つだけでも稀有な存在であることを、あらためて示すタイトルになるからだ。
打者専任でも際立つ大谷のWARの高さ
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確かに、今季の大谷は打者専任なのに、Wins Above Replacement(以下WAR)が高い。WARはセイバーメトリクスによって走・攻・守と投球を総合的に評価し、選手の貢献度を表す指標。野手の場合、役割の違う選手を比較するため守備位置による補正を施し、同値の大きい順に捕手、遊撃手、二塁手、中堅手、三塁手、右翼手と左翼手、一塁手となる。指名打者は当然この補正値が最も小さいにもかかわらず、大谷は5月29日時点のMLB公式ホームページで遊撃手ベッツのリーグ1位WAR3.7に次ぐ3.1をマークしていた。
近年のWARへの高い認知度、依存度も大谷のMVP争いには緩やかな追い風になるだろう。昨年までの5シーズン、両リーグ併せて計10人のうちWAR1位が3人、同3位以内の9人が最終的にMVPを受賞した。「ジ・アスレチック」のパドレス担当デニス・リン記者が「WARの考え方が絶対的とは個人的に思わないが、WAR以外に妥当だと思われる指標が現状では見当たらない。メディアだけでなく、MLB機構もWARを調停の資料などに活用している」と話すように、今や多くの投票者、球界関係者が参考にしている。
そして6月16日ロイヤルズ戦でベッツが左手を骨折し、長期離脱が濃厚となったことで、大谷がWARでリーグトップに立つ可能性も出てきた。最終的に専任DHがリーグWAR1位となれば史上初であり、この指標で最低補正値のハンディを覆したとなれば大谷の特別感はさらに際立つはずだ。