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「覚えているのは寿司屋に行ったときに…」内田篤人が語る“長谷部誠の正体”「長谷部さん、ちょっと面白くなってる。成長したなと(笑)」

posted2024/06/25 17:00

 
「覚えているのは寿司屋に行ったときに…」内田篤人が語る“長谷部誠の正体”「長谷部さん、ちょっと面白くなってる。成長したなと(笑)」<Number Web> photograph by Hirofumi Kamaya

日本代表やブンデスリーガでともに戦った長谷部誠について、現役時代のエピソードを回想してくれた内田篤人

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内田知宏(スポーツ報知)

内田知宏(スポーツ報知)Tomohiro Uchida

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Hirofumi Kamaya

 1本の電話がドイツで生き抜くための指針となった。日本代表でも、その姿勢をいつも見つめ、学んでいた。なぜ長谷部のいるチームはまとまることができたのか。「散歩隊」の一員・内田篤人が明かす、“真面目力”の正体――。
【初出:発売中のNumber1098号[後輩が語る統率力]内田篤人「群れないから信じられる」より】

内田篤人が語る長谷部誠の“正体”

 人に対して観察力と想像力を発揮し、言語化することが得意だった内田篤人が苦労しているようだった。今季限りで引退した先輩・長谷部誠についてだ。

「長谷部さん、(川島)永嗣さん、(吉田)麻也とのグループラインで、6年分のやり取りを見返したんだけど、エピソードみたいな話は本当に何もなかったんだよね。唯一覚えているのは、みんなで寿司屋に行ったときに、長谷部さんが自信満々で『これは、あの産地の金目鯛だ』って言ったのに、全然違ったことくらい。金目鯛じゃないことくらい、一目見ればわかるのに(笑)」

 5月24日、長谷部と共演する『報道ステーション』の出番前に用意された一室。そう言いながらスーツに着替え、着座すると、まずはその日終わったばかりの長谷部の引退会見の感想から語り始めた。

「子どもと遊びながら会見を見てたんだけど、長谷部さん、ちょっと面白くなってる。ジョークも言うようになっていて、こんなこと言うのか、と。ちょっと成長したと思った(笑)」

 会見の様子を見て、ふと昨年引退した高原直泰とのやり取りが脳裏に浮かんだ。

「高原さんは、俺が代表に入ったときに岡田ジャパンで一緒で、(清水)東高の先輩というのもあって怖い印象が残っていた。高原さんが引退してから『あのとき本当に怖かったですよ。しゃべってくれなかったですよね』と伝えたら、『いや、当時はいろんなものをまとってないと、あそこ(代表)に立てなかったんだよ』と言われて。なるほどな、と思った。確かに俺も現役の頃は、なんかいろいろ考えながらやっていたしね。自分の見られ方とか、インタビューを受ける時もさ、言葉を選ぶわけじゃないですか。現役中って鎧みたいなものをまとっていなきゃいけない。長谷部さんもそうだったのかなって感じたよね。そういうものをやっと下ろせたんだなって」

辛いときこそ「長谷部ならどうするか」と考えた

 長谷部との出会いは2007年12月、岡田武史監督率いる日本代表の候補合宿だった。互いに静岡県生まれで、Jクラブの下部組織ではなく、高校の部活でサッカーをやっていた。ただ、4学年離れている2人は年代別代表、地域の選抜チームでも一緒にプレーすることはなかった。

「静岡にいたから長谷部誠っていう名前は知っていた。覚えているのは、合宿中に長谷部さんがウォーミングアップしていて、プーマのスパイクを履いているなぁって。最初の印象はそれくらいだった」

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