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“禁止技”バックフリップは解禁されるのか? 話題のシャオ・イム・ファが「後悔はしなかった」と語った理由…会場で聞いた「専門家たちの意見」 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2024/04/02 17:21

“禁止技”バックフリップは解禁されるのか? 話題のシャオ・イム・ファが「後悔はしなかった」と語った理由…会場で聞いた「専門家たちの意見」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

世界選手権フリーでバックフリップを披露し、大歓声を浴びたシャオ・イム・ファ

 マリニンのフリー演技を見ていたか、今後点差をどう埋めていくのかと聞かれると鍵山はこう答えた。

「演技は少し後半の方は見てました。これからずっと戦っていくと思うんですけど、まず次の試合で会った時にお互いが100%出して勝てるのはまず無理なので、地道な努力と練習が必要となっていきますけれど、来シーズンもまずは自分が出来る技術をもっともっと増やして、プログラムも新しいプログラムになると思うので、もっともっとスケーティングだったりとか、GOEをもっともっと出せるようになるようなプログラムを作って1点でも2点でも来シーズンは追いつけることが目標かなと思います」

観客から大喝采を受けたバックフリップ

 総合3位に入ったフランスのアダム・シャオ・イム・ファは、今季のマリニンに勝利した唯一の選手で、優勝候補の一人だった。だがSPでは3つのジャンプ要素全てで失敗して、19位という予想外の位置に立った。

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「守りに入ってしまったのだと思う。つらいけれど、これも経験」と演技を振り返った。

 フリーでは24人中6番目の滑走だった。冒頭の4ルッツ、そして4+3トウループを降りた瞬間、これはノーミスで行くだろうと予感があった。同時に、恐らく彼が欧州選手権などで見せた禁止技、バックフリップもやるだろうと思った。

 彼がSPでトップ争いに食い込み、1、2ポイントが勝敗を分ける争いになっていたら、減点される禁止技は控えていたに違いない。だが今は失うものはない。そう思っていた矢先、予想通り彼はコレオシークエンスでバックフリップを跳んだ。その瞬間、会場は大歓声と拍手に包まれた。VIP席にいたISUのキム・ジェヨル会長をはじめとする役員たちは、全員この反応を目にしたはずである。

 1998年長野オリンピックで、フランスのスルヤ・ボナリーがこの禁止技をフリーで演じた時は、観客席からは戸惑いのどよめきがわいただけで拍手をした者は誰もいなかったように記憶している。26年の年月が、時代を変えたということなのだろうか。

「あのマイナス2ポイントが…」記者の質問にどう答えたか?

 シャオ・イム・ファは2ポイントの減点を受けたが、それでもフリー206.90の高得点を出した。総合284.39のスコアは暫定1位で、その後2時間近くもトップを保った。最後から3番目に滑った宇野昌磨が彼らしからぬ失敗を重ねた後、シャオ・イム・ファの表彰台入りが決定した。結果はマリニン、鍵山に次いで3位。実に16人抜きをしたことになる。

 会見で彼にこう質問をした。

「あなたは長くトップにいましたけれど、あのマイナス2ポイントがもしかしたら……」

 ここまで言うと、質問内容を察したシャオ・イム・ファと隣に座っていたマリニン、他の記者たちがゲラゲラと笑い始めた。

「勝敗を分けるかもしれない、やらなければ良かった、と思った瞬間はありましたか?」

「イエス!」と彼が答えると、再び会見場は笑いの渦となった。

「でももしそれで負けていたとしても、メインの要因はSPでの失敗ですから、そこまで後悔はしなかったと思います」

 結局2位の鍵山との点差は25ポイント以上で、バックフリップは彼の最終順位に影響しなかったことになる。

【次ページ】 禁止技に対する専門家の意見は

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