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「うざってえヤツ(苦笑)」安納サオリとスターライト・キッド、名勝負の裏にあったライバル関係…「意地とこだわり」が詰まった17分42秒
posted2024/02/29 17:01
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
思い切り投げて、思い切り投げられた。お互いの技量、気持ちも含めた強さを確かめ合うような試合だ。
2月4日、スターダム大阪大会で組まれた“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダム選手権。初防衛戦の安納サオリに、スターライト・キッドが挑んだ。
互いを意識していた安納とキッド
2人はともに2015年デビュー(安納が5月、キッドが10月)。アクトレスガールズでプロレスラーになった安納は新人時代スターダムに参戦しており、練習生だった頃のキッドとは練習もしていた。
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ただ、あまり試合では絡まないまま安納のスターダム参戦が終了。その後はそれぞれの道を進むことになった。安納はアクトレスガールズの初代シングル王者となり、フリーとしてもアイスリボンでベルトを巻いた。
キッドは2021年に“闇堕ち”=ヒール転向で特大のインパクトを残す。そこからハイスピード王座に加えタッグ、6人タッグも戴冠。
活躍する舞台は違っても、お互いのことは意識していたという。
「サオリが週刊プロレスの表紙になった時にも連絡しましたね。向こうも“キッドが刺激になってるよ”って」(キッド)
「プロレス界で一番、キッドの入場が好きですね。“闇堕ち”してすぐの大阪大会での入場は何回も映像を見ました」(安納)
キッドにベルトを見せつけた安納
昨年、安納はフリーとしてスターダム再参戦を果たす。初戦で6人タッグ王者になると同期のなつぽいとタッグベルトも獲得。年末の両国国技館大会では白いベルトを手にした。所属ではない人間がチャンピオンになって、穏やかではない選手もいるはずだと安納は見ていた。その筆頭が、互いの新人時代を知るキッドだった。キッドもワンダー王座が目標だと公言してきた。
「チャンピオンになったサオリは、解説席にいる私にベルトを見せつけてきた。“分かってんなコイツ”って。所属がたくさんいる中でサオリがベルトをもっていったのは正直、悔しかった。“結局スターダムに戻ってくるのか”という思いもあったし。
だけど、ベルトとった人間との関係性がそこまでだったら、私は白いベルトの事しか見てなくて“私が取り返す”しか思わなかったはず。チャンピオンがサオリだったからそれ以上の気持ちが生まれてきたんだろうね。初めてのシングルマッチで真正面からやり合えるのが楽しみで。たぶん私のキャリアの中で分岐点みたいな試合になると思う」
戦前のキッドはそう語っていた。勝ちたいのは当然として、安納サオリを味わいたかった。
「サオリは言葉数が少なくてクールなイメージ。スカしてんなって思うけど、それだけじゃない。表情だったり試合から伝わるもの、魅せる力がある」