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和田毅と“一緒にいた”選手からDM「確定ですか?」ソフトバンク番記者が目撃した“人的補償パニック”「甲斐野まで傷つく…リスペクトあったか」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2024/01/12 17:04
和田毅(42歳)の報から一転、甲斐野央(27歳)が発表されるまで何があったのか(写真は2023年12月契約更改時の和田毅)
フロントと現場の意思疎通も疑問
28名のプロテクトリストを作成するのは間違いなく難儀だ。西武は先発ローテ候補が豊富で、左腕にしても隅田知一郎がいて、ドラフト1位では3球団競合の末に武内夏暉の獲得にも成功していた。ソフトバンクとすれば、先発左腕は補強ポイントではないと睨んだのかもしれない。ただ、逆に西武目線に立てば左腕は先発候補も然り、中継ぎでも佐藤隼輔ら有望株がいるものの若手ばかりのため実績も経験も豊富過ぎる和田は魅力的な存在に映るに違いなかった。筆者は和田がプロテクトから漏れることはないと先述したが、これはホークスの番記者ほとんどが同意見だった。ソフトバンク側の見通しの甘さや読み違いといえばそうだし、老婆心ながらここ最近の球団は組織が大きくなり過ぎて内向的になっているように映る。そこは気になる点だし、さらに言えば小久保裕紀監督が「野手のレギュラーは柳田と近藤。開幕ローテは有原と和田は決まっている」と名前を挙げた数少ない選手をプロテクトしていないとすれば……現場とフロントの意思疎通という点からも、首を傾げてしまう。
選手にもファンにも…そこにリスペクトはあったか?
そして甲斐野である。西武から期待を受けて必要とされて指名されたに違いないのだが、どこか「和田の代わり」という印象が付きまとう羽目になった。明るい性格の人気者。秋のファンフェスティバルでは2年連続でナゾの替え歌で美声(?)を響かせ拍手喝さいをもらっていた。恥をかいてもファンに喜んでもらえるのならばいい。そんな好青年は「突然でしたがホークスには本当に感謝しかありません。ケガから復帰した時にマウンドでファンの皆さんから受けた声援もずっと忘れません。今後のホークス戦でも、こっそり僕だけ応援してほしいです」とのメッセージを残した。
プロ野球は、球団があって、選手がいて、ファンの存在もあって成り立つもの。どの部分にもリスペクトが欠けることがあってはならない。今はそんな思いが胸の中に残っている。