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《高校ラグビー決勝》36年ぶり“超ロースコア”決着はなぜ起きた?…「前年は県大会敗退」桐蔭学園が日本一のワケ「パスを投げ、捕るところから…」
posted2024/01/11 17:09
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
JIJI PRESS
1月7日に行われた全国高校ラグビー決勝戦は、史上希に見るロースコアの決着となった。
試合は春の選抜を制した神奈川の桐蔭学園が昨季王者・東福岡を3点差で振り切った。ファイナルスコアは8-5。過去3年間の優勝チームはすべて30点以上をあげていたことから見ても、異例といっていいロースコアだった。この大会、決勝で両チームとも1桁得点で決着したのは1987年度の第67回大会、秋田工が9-4で相模台工を破って以来36年ぶり。
当時はまだトライが4点の時代であり、使われていたのは皮製のボールで、元号は昭和だった。トライが5点になった1993年以降では初めてだ。
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歴史的なロースコアとなった原因は両チームの「堅守」だ。単純なタックル力・技術だけではない。一度タックルしてもすぐに起き上がって次の相手アタックに備え、素早く防御陣形を整える勤勉さ、危険なスペースを察知して埋め、複数選手が役割を分担して遂行するコミュニケーション能力。それを連続するフィットネス。すべてがハイレベルだった。
ディフェンスが際立ったのは、アタックもまたハイレベルだったからだ。
試合開始のキックオフは東福岡が蹴った。決勝のようなビッグゲームではひとつの得点がモノを言う。自陣深くの危険なエリアからは速やかにキックで脱出し、得点を狙える敵陣へと陣地を進めるのが得策。それは3カ月前まで多くのファンの目を釘付けにしたワールドカップでも実証されたセオリーだ。
キックを使わずボールを“運ぶ”ことを選んだ桐蔭
しかし、自陣深くで相手キックオフを捕球した桐蔭学園はキックによる陣地回復を狙わず、自陣深いところからアタックを始めた。細かいパスを繋ぎ、相手ディフェンスに当たっては着実にボールをリサイクルしてじわじわと前進。
そのアタックは1分半、実に11フェイズに及んだ。最後は相手陣10m線まで進んだところでノットリリースザボールの反則で終わったが、徹底して攻め続けるという覚悟を表明するアタックだった。実際、桐蔭学園はこのアタックを皮切りに、前後半の60分で10フェイズを超える連続アタックを6度もみせた。
スコアが動いたのは前半12分。桐蔭学園がこの試合で最長となった23フェイズまで攻撃を継続したところで東福岡が密集で反則を犯し、桐蔭学園FB吉田晃己がPGを成功。