MLB開幕戦の韓国開催は韓国野球委員会（KBO）が推進してきた事業で、MLBのグローバル化を目指すMLB事務局との利害が一致し、今年7月に決定されたイベントだ。パドレスにはメジャー進出3年目で今年、韓国人選手として初めてのゴールドグラブ賞（ユーティリティ部門）を受賞した金河成（キム・ハソン）が在籍中で、パドレスを応援する韓国人ファンが多い。その対戦チームがスター選手揃いの「国ジャース」ということだけでも韓国ファンを熱狂させたが、大谷の移籍で「商品そのものよりも豪華なおまけ」が付く幸運を掴んだのだ。当然、ネットコミュニティは歓喜するファンの声で溢れた。しかし、その歓声はすぐに懸念と心配に変わった。「果たしてチケットを手に入れられるだろうか」という懸念だ。

「チケットは完売できるか」→「観戦できるか」

　実は開幕戦の開催発表直後、韓国のネット野球コミュニティでは「果たしてチケットは完売できるだろうか」、「赤字になるのでは？」といった懸念の声があった。国内リーグの試合よりもチケット価格が高いことは明らかで、価格が上がりすぎると集客に問題がでるのではないかという不安があったのだ。

　しかし、大谷のドジャース移籍で完売への懸念は一気に吹き飛ばされ、むしろ「チケット争奪戦が起きて観戦できないのではないか」という懸念が浮上した。さらに、開催予定球場である高尺（コチョク）スカイドームがわずか17000席余りの小さな球場であることも懸念を増幅させている。

日本のドーム球場に比べると収容人数が少ない高尺スカイドーム　©JIJI PRESS

懸念材料は球場と天気、そして座席

　開催が予定されているのは3月20日。韓国の3月は日本より寒い。今年の同日の気温は最低3度、最高16度である。カリフォルニアの暖かい気温に慣れているパドレスとドジャースの選手たちにとっては厳しい気候かもしれない。また、雨天の心配もあるため、ドーム球場を選ぶしかないのだが、韓国にはドーム球場が1つしかない。それが前述のソウルにある高尺スカイドームだ。

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