この半世紀、男子日本代表は世界の舞台で苦杯を舐め続けてきた。自力で五輪出場権を手にしたのは48年前のことだ。2016年リオ五輪予選も、2019年のワールドカップも、そして開催国枠で出場した2021年の東京五輪も全敗だった。新たな指揮官ホーバスの問いに「イエス」と答えるには重たい覚悟が必要であった。

　ただ、そんな問答を繰り返してきたからこそ、1次ラウンドで格上のフィンランドからW杯17年ぶりの勝利を挙げることができたのではないか。そして今、この劣勢の土壇場においても、誰ひとり俯くことなく、逆転の予感を抱いていられるのではないか。佐々はそう考えていた。

川真田紘也／1998年6月16日、徳島県生まれ。城南高校から天理大学に進み、在学中に佐賀バルーナーズと特別指定選手契約を結ぶ。卒業後は滋賀レイクスターズとプロ契約。'23年2月のW杯アジア2次予選バーレーン戦で代表デビューを果たす。愛称は「マイキー」。204cm、110kg　Hideki Sugiyama

　川真田紘也が呼ばれたのは残り7分18秒、10点ビハインドの場面だった。

「強い気持ちでやってきてください！」

　ホーバスの言葉を背に受けてコートに入る。やるべきことは分かっていた。

【続きを読む】雑誌が読み放題のサブスク「NumberPREMIER」内の《バスケ日本代表》ベネズエラ戦、7分18秒の真実…「信じていますか？」トム・ホーバスに問われ続けた比江島慎と川真田紘也で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

Number1086号「甦る死闘」　※書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします