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なでしこ過酷ブラジル遠征での“礼儀正しさ”に現地記者が感動…エースMF長谷川唯「サインお願いします、と見えたので」1勝1敗以上の意義 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byRicardo Moreira/Getty Images

posted2023/12/06 17:51

なでしこ過酷ブラジル遠征での“礼儀正しさ”に現地記者が感動…エースMF長谷川唯「サインお願いします、と見えたので」1勝1敗以上の意義<Number Web> photograph by Ricardo Moreira/Getty Images

日本-ブラジル第1戦のスターティングメンバ―。1勝1敗の結果だけではない、なでしこジャパンが見せた振る舞いとは

 極めて困難な状況で、アウェーでブラジルと互角以上に渡り合い、勝利も手にしたことは、選手たちにとって大きな自信となったはず。試合後、ピッチの上で集合写真に収まった顔は、強い日差しを浴びて光り輝いていた。

 ブラジルは、来年2月のアジア最終予選で対戦する北朝鮮とは全くタイプが違う。試合時の気候も、今回の2試合とは真逆だろう。とはいえ北朝鮮とのアウェーゲームではピッチ外の要素も絡むだろうから、何が起きるかわからない。「この上なく厳しい状況で戦う」という点では、絶好のシミュレーションとなったのではないか。

 そして、なでしこジャパンが見据えるのは単にパリ五輪に出場することではなく、遥かその先だろう。その意味でも、非常に意義のある“弾丸ブラジル遠征”だったのではないか。

なでしこ全員が深々とお辞儀…地元観衆も拍手

 最後に、スタジアムで試合を見ていて強く印象に残ったことについて触れたい。

 試合前、池田監督となでしこの選手たちはウォーミングアップのためピッチへ出てきた際、中央で一列に整列し、観衆に向かって深々とお辞儀をしていた。試合後にも、同じ挨拶を繰り返し、地元観衆から大きな拍手を受けていた。

 これだけではない。

 第1戦では、片方のゴール裏に日の丸を掲げた数十人の日本人ファン(その大半がブラジル在住者か)がいたのだが、試合後、彼らに気付いた選手たちが歩み寄り、頭を下げてから手を振った。

 さらに、池田監督が一人だけ前へ進み、「応援ありがとうございました」と大声で叫んだ。サムライブルーの森保一監督はファンを大切にすることで知られるが、池田監督も同様だった。

「長谷川選手、サインをお願いしますという紙が」

 そのほかにもある。エースの長谷川がスタンドへ駆け寄り、ファンが差し出すユニフォームや日の丸にサインをしたり、写真撮影に応じていた。もちろん、ファンは大喜びだ。この試合のことは一生忘れないだろう。

 試合後、彼女にこの行動について尋ねたところ「『長谷川選手、サインをお願いします』という紙が見えたので……」とのことだった。彼女はなでしこでも指折りの人気選手だが、その理由がよくわかった。

 今年3月にマイアミで行なわれたWBCの終盤戦、今年9月から10月にかけてフランス各地で行なわれたラグビーW杯でも、日本選手の観衆、ファンへの敬意と礼儀正しさは際立っていた。

 種目は違えど、日本代表選手のスタンダードとなっている感がある。同じ日本人として、誇らしく思った。

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