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なでしこ過酷ブラジル遠征での“礼儀正しさ”に現地記者が感動…エースMF長谷川唯「サインお願いします、と見えたので」1勝1敗以上の意義
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byRicardo Moreira/Getty Images
posted2023/12/06 17:51
日本-ブラジル第1戦のスターティングメンバ―。1勝1敗の結果だけではない、なでしこジャパンが見せた振る舞いとは
一方、ブラジルはW杯のGSで1勝1敗の状況から格下ジャマイカと引き分けて敗退。アメリカ代表を率いて08年、12年五輪で金メダルを獲得したスウェーデン人のピア・スンドハーゲ監督を解任し、ブラジル人のアルトゥール・エリアス監督が指揮を執る。2024年パリ五輪の南米予選を兼ねた2022年コパ・アメリカ(南米選手権)で優勝しており、すでにパリ五輪出場を決めている。世界ランキングは日本が8位、ブラジルが9位である。
17歳CB古賀らが先発した第1戦は2点差を追いついたが
11月30日の第1戦で、なでしこは初招集の17歳のCB古賀塔子(JFAアカデミー福島)がいきなり先発。主将の熊谷紗希(ローマ)がアンカーを務め、3トップは右から藤野あおば(東京ヴェルディ)、植木理子(ウエストハム)、宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)だった。
なでしこは前半38分、左サイドを崩し、ファーサイドの長谷川唯(マンチェスター・シティ)からの折り返しを藤野がダイレクトで叩いて先制。しかし、ブラジルはFKを直接決めて追いつく。そして後半15分、ブラジルは熊谷のバックパスをさらって逆転し、3分後にもなでしこの最終ラインのミスに乗じて加点した。
2点差を付けられて非常に厳しい状況に追い込まれたものの、なでしこはここから逞しさを発揮する。初招集の18歳MF谷川萌々子(JFAアカデミー福島)がペナルティエリア内で倒されて獲得したPKを左SB遠藤純(エンジェル・シティ=アメリカ)が強烈に決める。そして、右からのクロスをCF田中美南(神戸レオネッサ)が左足アウトサイドでコースを変えてゴールへ流し込み、3-3に追いついた。
アディショナルタイムに入って引き分けかと思われたが――終了直前、ブラジルに見事なミドルシュートを放り込まれ、3-4で敗れた。
2戦目は効率良く点を取り、体を張って無失点
2戦目の試合開始は午前11時で、1戦目にもまして暑かった。
前半15分、右CKをファーサイドでフリーになったCB南萌華(ローマ)がボレーで叩くと、ブラジルのDFに当たってコースが変わって先制。さらに3分後、中盤でボールを受けた田中がゴールの方向を全く見ないでロングシュート。前へ出ていたGKの意表を突いて、ゴールへ飛び込んだ。