奈良・高田商高出身だから、偉大な先輩・三浦大輔監督のところが行くのかと思ったら、意外とここまで残っていた。5位指名は関西学生球界から津田淳哉（大阪経済大）だ。久方ぶりの母校の後輩となると、逆に、あずかった方が気を遣ってしまったり、やっぱりやりにくいのかも？

　この秋のリーグ戦でも150キロをクリアした快速球に、100キロ前後のカーブで打者の感覚を幻惑させて、まっすぐを狙われといると察知すると、サッとスライダー、チェンジアップ……変化球同士の緩急に切り替える鋭い野球カン。

　同じリーグで「大商大の2人」ばかりが話題を集める中、人知れず、腕を磨いてきた。

　この春のセンバツでの奮投を覚えている向きには、「捕手」としての指名は戸惑ったかもしれない。

　センバツ当時、すでに腰を痛めていた青野拓海（富山・氷見高）を、以降ずっと野手、打者としてマークしていた。

　そもそもは捕手として、北陸の強豪高校からいくつも声がかかっていたと聞いている。ドッシリと隙のなさそうな構えから、スイングスピードと外野深く飛んでいく打球の勢いは高校生レベルをはるかに超えている。

　エースピッチャーとして2年間投げてきて、投手目線で打者を観察してきた「嗅覚」も、再びマスクをかぶった時に、心強い味方になってくれるはずだ。

ヤクルト上位指名は…とことん「投手」で！

【ヤクルト　2023年ひとりドラフト指名選手】

1位　武内夏暉　22歳　投手　國學院大　185cm90kg　左投左打
2位　上田大河　21歳　投手　大阪商業大　182cm86kg　右投右打
3位　坂井陽翔　18歳　投手　滝川二高　186cm85kg  右投右打
4位　冨士隼斗　21歳　投手　平成国際大　181cm85kg  右投右打
5位　小笠原蒼　18歳　一塁手　京都翔英高　180cm95kg　右投左打
6位　明瀬諒介　18歳　内野手　鹿児島城西高　184cm90kg  右投右打

【ヤクルト　総評】

　2年連続セ・リーグ制覇から一転、リーグ5位。内容はほぼ最下位だったヤクルト。

　優勝した昨年から「投」の心もとなさは見え隠れしていた。

　今季43歳の石川雅規（昨季6勝→今季2勝）、故障の原樹理（8勝→0勝）、高橋奎二（8勝2敗・防御率2.63→4勝9敗・防御率4.60）……層の薄さは、それこそ薄々感じられていた。

　先発陣でサイドにして投球が安定した小澤怜史（6勝）、リリーフ陣で木澤尚文（20ホールド・防御率2.72）、田口麗斗（33セーブ・防御率1.86）の2年連続の大奮投があったからなんとか格好がついたが、残念ながら、現有戦力の中に、一軍、ファーム共、新鋭台頭の兆しは見えない。

　ならば、とことん「投手」だ。即戦力、将来への先行投資。これはという投手がいるうちは、とにかく「右腕と左腕」だ。

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