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大谷翔平の靭帯損傷は“誰の責任”なのか? ケガまでの数日間にあった、エンゼルスと大谷の決定的なミス「彼は手術を受けるのではないか」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/26 17:07
8月23日(日本時間24日)のレッズ戦で緊急降板となった大谷翔平
メッツ、ヤンキースのドクターにも相談か
24日、大谷はチームとともにニューヨーク遠征へ向かったとの情報が入った。球団からの発表はこんな文面だった。
「Shohei traveled with the team to New York and is planning to DH for the Club until further notice」
(翔平はチームとともにニューヨークへ向かい、追って連絡するまでDHで出場するプランがある)
25日からのメッツ戦では打者として出場の予定ということだが、ちょっと気になるのはDH出場の期間について付け加えていることだ。球団発表としては「ニューヨークへ向かった」だけでもいいはずだ。記者という仕事をしていると仮説を立て、その仮説を潰していくという作業が癖になっている。
ニューヨークにはメッツ、ヤンキースのチームドクターがいる。MLBではライバル球団のドクターにセカンドオピニオン、サードオピニオンを仰ぐのは普通のこと。この遠征中に大谷が次への決断を下しても何の不思議もない。
エンゼルスは大谷の扱いを決めきれないでいる
また今回、世界の至宝・大谷翔平の右肘に再び損傷が起こってしまったことで、『責任』を追及する声が高まっている。
常に出場を直訴する大谷に対し、球団がストップをかけられなかった。この事実を責める声は理解できる。だが、球団だけの問題かと言えば、決してそれだけではない。
米国は過去の範例に倣う社会風習がある。MLBも同様だ。言うまでもなく現代野球において、二刀流は前例がない。どこの球団にも二刀流に対する辞書がない。だから指導者たちは自分たちで指導の原理原則を決めきれないでいる。
その中で大谷は二刀流として結果を残した。球団が導いたものではない。ルーティンは彼独自のものであり、体の状態とパフォーマンスの関係、消費エネルギーと燃料タンクの残量など、大谷にしかわからない世界ばかりだ。だから、両者は『密なコミュニケーション』を頼りに21年から23年途中まで大成功を収めてきた。