酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
西武ライオンズ大ファンな“ビールの売り子さん”「試合、気になりません?」素朴な疑問に答えてくれた「自分の杯数を超えるのが目標です」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byTadashi Hosoda
posted2023/08/07 17:05
菜々さんはベルーナドームのビールの売り子として“殿堂入り”した実績の持ち主だ
基地に入ってきた菜々さんは、カウンターに背中を向けてもたれる。するとチェッカー(ビール交換スタッフ)が、背中のタンクから空のビール樽を抜き取り、新しい樽を詰め替える。この間、わずか数十秒。F1マシンのタイヤ交換もかくや、という素早さで、彼女は再び“出撃”していくのだ。
彼女はオープン戦からポストシーズンまで、ベルーナドーム、大宮球場のすべての試合でビールを売っている。
〈コロナの時は、ビールが売れない、売り込むこともできない。最初はソフトドリンクだけとか、ノンアルコールだけとか、時間も20時までとかでしたしね。2021年は「最終戦はビールを売ることができるかも」と言っていたんだけど、結局最後までアルコール売れなくて、その時が一番ショックだったですね。
去年からフルに売ることができたのは嬉しかったんですが、2年ほど制限がかかっていたので、身体がなまっていて、やりだしたらもうへとへとでしたね。でも、一番うれしいのはシーズンスタートです。久しぶりに常連さんに会って、今年もビールを売れる! と思う瞬間が最高ですね。
いつまでやるか決めてないけど、ずっとこの仕事を続けていきたいですね〉
様々なスタジアムグルメやクラフトビールで話題のベルーナドーム。ビールの売り子さんという存在もまた、ファンが楽しめる球場という場を支えている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。