【3】駿台甲府高（山梨）・平井智大投手「MAX151キロの大物感」　

「超大型」といえば、当確と思われた山梨学院を破った駿台甲府（山梨）・平井智大（３年・190cm98kg・右投右打）の大物感がすごかった。

  相手がセンバツ優勝の「全国の強豪」なのを知らないのか？ と思うほど、堂々と平然と投げ続けた。結局、9-7の激戦を制してしまったのだから驚いた。

  山日YBS球場（旧・小瀬スポーツ公園野球場）のスピードガンは数字が控えめに出るそうだが、それでも「151キロ」が何度か見えた。

  右打者の内角を狙った速球がシュート回転して中に入っても、ボールの「圧」でスイングを圧倒する場面も何度かあった。

  それでも、決して高ぶることなく、気負うことなく、巨体に頼った力任せのフォームじゃない。踏み込んだ左ヒザは割れないし、グラブサイドで体の開きを我慢しながら腕を振って、目線はしっかり投げたボールの軌道を追えているから、頭が動かない。

　多分、いつもこんなふうにゆったりと投げていて、言葉は悪いけれど「どうせ最後は負けるんだろう」（失礼！）と、そんなふうな良い意味での居直りみたいなムードすら感じてしまった。

  こういうピッチャーを甲子園のマウンドに乗っけたら、どんな変化をするんだろうか。それともそのまんまなのか……ぜひ見てみたかった。残念ながらその願いは、決勝で東海大甲府に敗れて叶わないままだ。

  お願いしても、愛想笑いなんかしてくれないような雰囲気。オレはオレですから。そんな感じの大物感が今風じゃなくて、すごく頼もしかった。

【4】藤嶺藤沢高（神奈川）・根岸大和投手「打ちにくい軟投派サウスポー」

  サウスポーなら、「いの一番」がいる。

「激戦区・神奈川」からは毎年、剛腕・快腕が数多く現れるが、「こんな左腕がいたのか」と驚いたのが、藤嶺藤沢高・根岸大和（３年・180cm75kg・左投左打）だ。

  神奈川の左腕といえば、横浜高・杉山遙希が第一人者ということになるのだろうが、根岸大和の「打ちにくさ」もぜんぜん負けていない。

  スピードは130キロ台後半でも、クロスファイアーのラインがしっかり作れて、それ以上にスライダーが素晴らしい。すべってきてから、ホームベースの上でスッと落ちるような「二段変化」に見える。おそらく、打者の視界からは消えているはずだ。桐光学園の強打線が、全くミートポイントを作れない。

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