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「練習は“あの”東尋坊の崖からダイブ」「競技人口は日本で1人だけ」…“27m=ビル10階から飛び降りる”ハイダイビング日本代表・荒田恭兵とは何者か? 

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田坂友暁

田坂友暁Tomoaki Tasaka

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photograph byAFLO

posted2023/07/27 11:00

「練習は“あの”東尋坊の崖からダイブ」「競技人口は日本で1人だけ」…“27m=ビル10階から飛び降りる”ハイダイビング日本代表・荒田恭兵とは何者か?<Number Web> photograph by AFLO

日本人初となるハイダイビングでの世界水泳出場を果たした荒田。ビル10階相当の27mの高さからダイブする異例の競技だ

 だが、結果は28位。出場権獲得に届かなかった。悔しかったが、自分の技術が追いついていないことも実感した。むしろ今後に向けてのやる気をもらえたほどだった。

 そして、そんな荒田にWorld Aquaticsから朗報が届く。自国開催ということもあり、ワイルドカード(特別参加枠)での出場権が付与されたのだ。

 とうとう荒田は世界への挑戦権に辿り着いたのである。

「プールだけでは技術を磨けない」日本中の崖を巡ったことも

 過去を振り返れば、様々な思いが溢れてくる。入水を失敗し、救急搬送されたこともあった。新型コロナウイルスの影響で練習場所を失ったときは、飛込選手として通っていた高岡SCで基礎的な技術を磨いた。入水時の衝撃に耐えられるように、陸上トレーニングも積み重ねた。「プールを使った練習だけでは技術を磨けない」と、日本中の崖を巡るようにもなった。今では福井の東尋坊は荒田のホームだ。

 そうして飛んだ、記念すべき福岡世界水泳の1ラウンド目。

 302E(前踏み切り後ろ宙返り1回)は入水時の体勢を作りきれず、水しぶきをあげてしまい、33.60ポイントに留まる。初めて27mから飛んだときも、胸を水面に打ちつけるダイブだった。そういう意味では荒田らしい世界への第一歩だったのかもしれない。

 2ラウンド目は、5461B(後ろ踏み切り前宙返り3回半回捻りエビ型)にチャレンジ。1ラウンド目に比べれば、格段に難易度の高い技だ。

「今までで一番完成度は高かったと思います」と、ようやく納得できる演技を披露。ポイントも68.40とまずまずだった。

 入水後は、無事を知らせる「OK」サインを笑顔で出す。救助のためにいるダイバーとハイタッチ。プールから上がると、充実感に満ちあふれた笑顔で歓声に応えた。その笑顔は、とても誇らしく見えた。

「世界水泳という大舞台で僕が飛ぶことで、ハイダイビングという競技があることを知ってもらう良い機会です。後半の2本もやりきりたい」

 ハイダイビングは2日に分けて2本ずつ4本の演技を行い、その合計得点で争われる。

 日本のパイオニアが世界大会に初めてその名を刻む後半の試技は、7月27日12時、シーサイドももち海浜公園でスタートする。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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