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「大也がこんなに弱いと思いませんでした」“あの”東京五輪から2年…瀬戸大也の反骨心をよみがえらせた「ある出来事」<世界水泳で銅メダル>
posted2023/07/24 17:00
text by
田坂友暁Tomoaki Tasaka
photograph by
JIJI PRESS
7月23日にマリンメッセ福岡で開幕を迎えた世界水泳選手権2023福岡大会の競泳競技。初日に行われた男子400m個人メドレーの表彰台に、瀬戸大也(CHARIS&Co.)が帰ってきた。
予選を4分10秒89の3番手で通過。
決勝はアメリカのカーソン・フォスター、そしてフランスのレオン・マルシャンのふたりが飛び出す展開となる。瀬戸は長年のライバルであるチェイス・カリシュ(アメリカ)との3位争いに勝負を切り替えた。
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ラスト50mでカリシュを捉えた瀬戸は「絶対負けねぇ! と思って力を振り絞りました」と、勝負に決着をつけ4分9秒41で銅メダルをもぎとった。
本人はレース後「メダルはうれしいです」としながらも、悔しさを吐露した。
「タイム、遅いっすね。試合前に掲げていた、銀メダル以上と自己ベストという目標が達成できなかったので、悔しいのがいちばんです」
一方で銅メダルが獲れた要因として、東京五輪後に自らをたたき直すために師事した加藤健志コーチの元で行ってきた熾烈を極めるトレーニングの数々を挙げた。
「きっと東京五輪までの自分だったら、最後、耐えられなくて失速していました。加藤コーチの練習があったから、最後の25mで身体がきつくても脚も身体も動かすことができました。ラスト50mに自信を持てたのも練習のおかげです」
このレースでマルシャンは世界最古となっていた、マイケル・フェルプス(アメリカ)が持つ世界記録を1秒34も更新。フェルプスのこの記録は、2008年の高速水着時代に樹立されたものだけに、この新記録が世界に与えた衝撃はとてつもなく大きかった。
瀬戸が目指す最終到達点は、パリ五輪での金メダルだ。
その高みに辿り着くには、この“新”水の怪物を倒さねばならない。そして、その道は決して平坦な道のりではない。
「今のままではかなり厳しいですね……。彼に勝つには、果てしないトレーニングが必要だと思います。ただ、勝てる確率は0%ではない。まだ加藤コーチとやっていない練習もたくさんありますから」