酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
日本ハム新球場「駅に“徒歩約19分”とあるけど」「大谷&ダル壁画、グルメがスゴい!」“色々な評判”を現地で見た「台湾のCAさんも…」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/05/29 11:32
2023年プロ野球の話題となっているエスコンフィールドHOKKAIDO。交流戦でセ・リーグファンも多く訪れるだろう
これまでの球場で、筆者が不満を持っているのは、グラウンドに近い低層の席の視界が、価格が高いにもかかわらず、必ずしも良好とは言えないことだった。ファウル対策としてネットや金網が張り巡らされていて、太い支柱も立っている。観客はそうした防護柵越しにグラウンドを見ることになる。
しかしこの球場のファウルよけのネットは、メッシュが極めて細かいうえに、黒い繊維でできていて、見通しが良い。1階席でもネットの存在が気にならない。2021年に改装なったベルーナドームのネットと同じような仕様かと思うが、視界良好だ。
1階席でも観戦したが、選手までの距離も近く、迫力があった。
エスコンの本当の魅力は球場周辺と感じた
ただエスコンフィールドHOKKAIDOの本当の魅力はグラウンドや観客席ではなく、その周辺にあると言えよう。
2階には「七つ星横丁」というフードコーナーがある。ベルーナドームやマツダスタジアム(広島)など、飲食店が並ぶゾーンがある球場も多いが、エスコンフィールド北海道はスケールが違う。職人が寿司を握る店、焼き鳥屋、飲み屋などがずらっと並んでいる。1階には広島風お好み焼きを鉄板で焼く店もある。人々は思い思いの料理や飲み物を買って腰を下ろして飲み食いできる。象徴的なのは「グラウンドに背中を向けて座る席」もあることだ。いうなれば、野球を見なくてもOKなのだ。
ファイターズフラッグシップストアは試合中もお客が引きも切らない。新庄剛志監督デザインの新ユニフォームも人気がある。最も多くの人を集めていたのが、ダルビッシュ有と大谷翔平の壁画だ。現役選手ながらもはやレジェンドだ。
自由観戦の立見席、ビール片手に見下ろせるブルペン
客席の最後列にはシートのないカウンターだけの立見席がある。多くの人がビールやチューハイを手にグラウンドを見ている。
この球場の定員は3万5000人だが、席数は2万9000だけである。あとの人は立見席などで自由に観戦することができるのだ。
他の球場では、立って観戦していると「ご自身のお席で見てください」と言われることも多い中で、指定されたエリアならどこで見てもいいというのも画期的だ。だから試合中も人の流れが絶えない。この球場のブルペンは客席から見ることができるが、ビール片手にブルペンを見下ろすのも粋なことではある。さらに球場内には「ユニ・チャーム マナーウェアドッグスイート」という施設があり、犬連れでも入場可だ(6月1日には、Fビレッジの一塁側にドッグラン「ユニ・チャームDOG PARK」が開業するという)。
デーゲームでは、飲食店のスタッフが「今日は午後8時まで営業してまーす!」と声を上げている。野球の試合が終わっても、腰を据えて飲むことができる。