ブアカーオが試合後に明かした思い「まだ闘争心がある」

「気持ちいいですね」

　それがインタビュースペースでのブアカーオの第一声だった。「情けない」という安保とは対照的だ。

「全力を出し切ることができたのでスッキリしてます。この歳になってもまだこれだけやれる。ブアカーオはまだ健在だというところを示したかったんです。それに、まだ闘争心があるところも」

試合後のインタビュースペースでの第一声は「気持ちいいですね」　©Norihiro Hashimoto

　魔裟斗にも面白い試合が見せられたんじゃないか、そう言って笑うブアカーオ。しかしファイターとして十分すぎるほどに成功し、ビジネスでも多忙だという今、よくモチベーションが保てるものだと感嘆せざるを得ない。

「努力をすればまだまだ続けられる、ブアカーオのスタイルを見せられる。K-1でもチャンピオンになったし、いろんな経験をしてきました。だけど、今の年齢では昔のように闘えないというわけではないと思っています。むしろ昔以上にやれる、今の若い選手とも同等に闘える。それを証明したい」

　彼にとって格闘技とは、持ち帰ったトロフィーの数や稼いだ額の問題ではないのだ。強くなること、強くあり続けることそれ自体が目標。つまりは根っからのファイターなのである。“昔の名前”で小遣い稼ぎをしたいわけではない。だから安保という若くて才能のある選手に対しても、まったく妥協するところがなかった。

ブアカーオは笑顔でガッツポーズを作った　©RIZIN FF

ブアカーオの闘い続ける姿

　ブアカーオは今でも強い。少なくとも安保瑠輝也と引き分けるくらいには強い。それができるくらい、今も真剣に格闘技に打ち込んでいるということでもある。そんな姿を見ることができて、やけに嬉しい。そういう部分もある。

　昔から見てきた、言ってみれば昔馴染みのような選手がまるで老け込んでいない。変なたとえかもしれないが小野伸二や遠藤保仁が日本代表のスタメンに復帰したような感じか。あるいは和田毅や石川雅規の侍ジャパン入り。そんなの嬉しいに決まってる。「あいつ元気なんだなぁ、やってるなぁ」とうまい酒が飲める。

　たぶん榊原CEOも魔裟斗も、そういう感覚だったのではないか。ひとまず安保の出来や将来については置いておこう。この日に関しては、ブアカーオが強かったことが大事なのだ。

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