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巨人でも大勢はガチだった…WBCを経てバージョンアップ! 大谷翔平に質問したこととは?「大谷さんのアドバイスで自信を持っていけました」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2023/04/09 06:20
4月2日の中日戦で開幕3戦目にして今季初登板、初セーブをあげた巨人のクローザー・大勢
3対2と1点リードした9回の中日の攻撃。先頭の代打・溝脇隼人内野手への初球に155kmのストレートを決めると、2球で追い込み最後はフォークで一ゴロに仕留めた。続く代打の加藤翔平外野手も、真っ直ぐを空振りした2球目のフォークで二ゴロに打ちとりあっさり2アウトを奪う。
そしてこの開幕シリーズ4安打と当たっている1番の岡林勇希外野手にはフォークを連投。最後も142kmを真ん中低めに落とした空振り三振で、危なげなく今季初セーブをマークした。
「ずっと責任を感じていました。去年はずっと9回のマウンドに立っていたのに、その9回にマウンドに立てない悔しさ、何もできない気持ちもありました」
WBCの経験でバージョンアップ
投げられない時間に感じたクローザーとしての自覚とそれを果たせないジリジリした思い。その悔しさをぶつけたマウンドだったが、もちろん2年目の進化は着実にあった。特にWBCを戦った経験から生まれた、バージョンアップした大勢を見せた登板でもあった。
いきなり中日ベンチが送ってきた代打の溝脇と加藤はいずれも左打者だったことが、相手チームの大勢対策を示していた。
「代打で左、左だったので、去年のデータからそうくるかなというのはある程度、ブルペンでも村田(善則ブルペン)コーチとも話していました」
そこから1番の岡林も並んだ左打者3人を、しっかり抑えた投球内容が今年の大勢の進化である。
課題に掲げていた左バッター対策
実は昨年37セーブで新人王に輝いたが、その快投の中で、1つの課題として掲げていたのが左バッター対策だった。
96人の打者に対して90打数18安打の打率2割だった右打者に対して、左打者との対戦は125人の打者に111打数20安打の打率1割8分と、一見、左の方が得意のように感じるデータがある。しかしクローザーの仕事が安打を打たれないことではなく、点を与えないことだとすれば、絶対に避けたいのが四球と長打である。
その数字は圧倒的に対左が悪かったのだ。