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センバツ“入場行進曲”はいつからヒット曲に? 戦前は軍歌→YouTube再生数も考慮…毎日新聞&編曲家に直撃「どんな曲でも行進曲にできる」
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byJIJI PRESS
posted2023/03/18 06:00
センバツの入場曲はいつからヒット曲を使うようになったのか。また、どのような過程で選ばれているのだろうか
その後、社内の複数部署の記者も交えて協議し、編曲者とも相談しながら最終候補を決定します。最終候補曲の作曲者、アーティストなど関係者の了解が得られた段階で、選抜大会の運営委員会に示す候補となります」(濱氏)
「過激な歌詞」は選ばれにくい?
筆者は、毎年どの曲が選ばれるのかを勝手に予想するのが楽しみで、2021年は、若者を中心に大反響を巻き起こした、Adoの『うっせぇわ』が選ばれるのではないかと密かに予想していたが、選ばれたのはFoorinの『パプリカ』(作詞・作曲 米津玄師)だった。同曲は、「<NHK>2020応援ソング プロジェクト」の楽曲として制作されたもので、ダンス動画がSNSに多数投稿されるなど、社会現象を巻き起こしたロングヒット曲で、当時日本中を席巻していたのは記憶に新しいところ。2020年の入場行進曲にも選ばれていたが、コロナ禍で大会自体が中止となり、翌年にそのままスライドされた。
『うっせぇわ』も、若者を中心に大きな広がりを見せるなど大旋風を巻き起こしたが、
「はぁ? うっせぇうっせぇうっせぇわ」
「クソだりぃな」
といった、社会への怒りをぶつける歌詞が、学校教育の一環としてのセンバツ入場行進曲としては難しかったのかもしれない。ダークな響きのロックなサウンドがカッコよく、若者の心のうちを代弁したかのようなこの歌詞も、大人の自分が聴いても非常に斬新で痛快なくらいだったが、運営側が躊躇する気持ちもわからなくはないなあ……などと、勝手に想像したりした。
YouTube再生数も考慮
それにしても、近年は音楽番組の減少や、ランキング集計方法の変化などにより、昔のような「国民的大ヒット曲」が生まれにくい時代。入場行進曲を選ぶうえで意見がわかれたりすることはあるのだろうか。